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『日本改造計画』  作者: 桃太郎
幕間(1)
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幕間(1)

 時は、やや遡る。アフリカとの交渉開始前日の事だ。米国大統領との電話会談を実施。

「やぁ、総統殿。私がアメリカ大統領本人だ。今日は、なんの要件かな。」

 早速切り出す大統領。こちらも通訳を介して丁寧な挨拶を返すと早速本題に入る。

取引ディールしたい。当然、日米共に利益を生む話ですよ。」

「話を聞こう。」

 食いつきがいいな。やはり、今の大統領、話が通じる男だ。

「舞台は、アフリカです。私は、今からアフリカ大陸の国境を取り払って一つの国にします。

 その際、発生する権益を全て日本帝国のものにします。

 ちなみに、アフリカ大陸全体の人口をご存じですか。」

「さあな。」

「2024年の数字で、約十五億人です。」

「へぇ、で、それが何か。」

「つまり、約十五億人を食わせなければならない。その為の食料燃料を買わねばならない。

 ここまで、言えば理解できましょう。聡明な大統領ならば。」

「つまり、約十五億人分の食料燃料を買うのか、アメリカから。」

「西半分は、米国、アルゼンチンから。東半分は、中東、インドからとなりますよ。

 考えて下さい。相手は、満足な産業も、輸出品もないアフリカ。

 むしろ、地下資源をドル安で、安く買える。

 対米貿易赤字は、必至でしょう。それが、約十五億人。

 しかも、食料さえ満足にない現状でも、人口は増え続けています。

 食料があれば、二十億人だって夢ではありません。おいしい市場でしょう。」

「確かに、そうだな。で、日本は何を得るのかな。」

「作業は、多大で膨大で莫大なものになりましょう。

 その際、発生する権益を全て日本帝国のものにしたいのです。

 故に、米国大統領におかれては、日本帝国がアフリカで実施する事を全て承認ください。

 そうすれば、それだけで、約十五億人の市場です。」

「分かった。こちらでも検討したい。」

「私が、指定する時期タイミングで、承認を表明してください。世界に向けて。

 そうすれば、日本が仲介して、米アフリカの自由貿易協定を結ぶ事も可能です。」

「分かった。検討するので、今日はこの辺でお開きにしよう。」

「では、色よい返事をお待ちしております。」


 * * * 


 今日もリモート会議だ。参加者は、私、日本帝国総理、陛下であらせられる。

「本日は、お集まり頂き、誠にありがとうございます。

 本日は、第一回『日本改造計画』並びに『世界改造計画』の進捗会議を実施致します。

 お手元の資料は、既に目通し済みとして、質疑応答に移ります。如何でしょう。」

「はい。問題ありません。」

「分かりました。では、私から。」

「はい。陛下。」

「一つ、東京都の地方公務員……年金担当者を、全員逮捕無期懲役にしたそうですが、何故ですか?」

「では、総統からお願い致します。」

「私からお答えいたします。連中は、日本人を不正受給で疑うあまり支給を渋っていました。

 あまつさえ、外国人に日本人の血税を支給する始末。日本人の生存権を脅かす行為です。

 総統として、見過ごす事、あたわず。処罰が、妥当と判断に至りました。陛下。」

「分かりました。総統の判断を信じましょう。では、二つ、NHKの件、国営企業化する事は由とします。が、手続き完了までの間、徴収された受信料は、どのような扱いになるのでしょう。」

「では、総統からお願い致します。」

「私からお答えいたします。あれは、日本が降伏した時点で、国営企業化しています。

 故に、その時点から、受信料を徴収する事を禁止しています。

 過失など如何なる理由があれど、受信料を徴収した担当者は、逮捕し厳罰に処しています。

 また、徴収された受信料は、全額返還させます。以上でございます。陛下。」

「分かりました。総統の判断を信じましょう。では、三つ目の質問です。」

「はい。陛下、何なりと。」

「竹中平蔵氏の件です。彼は、既に逮捕され、現在無期懲役の刑期中ですが、根拠は何でしょう?」

「では、総統からお願い致します。」

「確かな事実が一つございます。物的証拠は何一つございません。あるのは状況証拠のみです。

 彼は、小泉政権下で、首相に意見を申し述べる権利を獲得しました。

 で、小泉政権下では様々な規制緩和が執り行われました。

 とりわけ大きいのは、二つ。企業が社員を解雇し易くした事。

 正社員より安い給料で雇用できるようにした事。どちらも企業に媚び労働者を苦しめました。

 しかも、自身が経営する人材派遣会社は、これらの制度を利用して大儲けしました。

 ここまは、物的証拠です。

 そこで、彼が、総理大臣にあれこれ吹き込んだと言うのが、状況証拠のみです。

 以上になります。」

「分かりました。総統の判断を信じましょう。では、最後の質問です。経団連の皆さんの件です。」

「では、総統からお願い致します。」

「彼らは、長年消費税増税に賛成し続け、政治活動までしてきました。

 その罰として、無期懲役に処しました。以上になります。」

「分かりました。総統の判断を信じましょう。私からは、以上です。」

 囚人服姿の竹中平蔵が、刑務作業に従事する動画は、異常な再生数を誇っている。

 日本国民は、喜んでいるのだ。彼奴が無期懲役になった事をな

「ありがとうございます。陛下。

 では、次に私から総理に質問があります。」

「はい。総統。何なりとどうぞ。」

「NHK改革、省庁改革、選挙改革に手間取りすぎです。法改正など、陛下の勅命だけで可能。

 故に、さっさと片づけて、次の段階に進めなさい。」

「確かに、新憲法では、陛下の勅命だけで可能です。が、法改正には慣習もあります。

 今しばらくお待ちください。総統。」

「しかし、受信料が徴収された場合、担当者は無期懲役。これは、一秒たりとも待ちません。」

「はい。それは、総統の仰る通り実施致します。」

「……分かりました。この件、総理の手腕に期待します。では、最後の質問です。

 アフリカの件、時間をかけ過ぎです。いいですか、私の千年計画の第一歩なのです。

 わかっていますよね。」

「分かっております。故に、全アフリカ連合加盟国に、『アフリカ連邦』構想の資料は、配布済みです。しかし、声をかけている国々が、実効性に疑問を抱いています。」

「それで、参加を渋っていると……分かりました。次のリモート会議には私も参加します。」

「分かりました。総統。」

 こうして、今回の会議も終わった。


 * * * 



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