改革への道(アフリカ編)(12)
今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、外務省事務次官だ。
「今日は緊急招集と言う事でした。挨拶は、不要です。まず、報告しなさい。事務次官。」
「はっ。フランス大統領から書簡が、届いております。読み上げます。
『そもそも逆関税のせいです! また、海外県並びに準海外県の
独立承認を却下して下さい!』以上になります。総統閣下。」
「私に、書簡を送る必要はありません。廃棄処分……否、公表しなさい。
まず、記者会見を開き、内容を日本語訳して読み上げる。
更に、破ってバケツに入れた後、ガスバーナーで焼き上げなさい。
消し炭になった書簡も写真撮影させる事。以上です。事務次官。」
「はっ。復唱いたします、『記者会見を開き、内容を日本語訳して読み上げる。
更に、破ってバケツに入れた後、ガスバーナーで焼き上げる。
消し炭になった書簡も写真撮影させる事。』以上です。総統閣下。」
「では、特に質問はありませんか。」
特になかった為、今回の会議は、これでお開きとなった。
* * *
本日の記者会見の最後に例の書簡ネタを投入させた。
最初に、フランス大統領から書簡の日本語訳を読み上げさせる。
さらに、原文は全新聞社に公表。そこで、私の文書を読み上げさせた。
「えーーっ…………総統閣下よりコメントを頂戴しております。
読み上げます。『フランスは、事もあろうに、要求のみ。
何の義務も果たしていません。そもそも鰻の件での交渉も拒否。
これでは、話になりません。フランス……否、欧州との交渉打切。
”欧州とは、見ざる聞かざる言わざる”を貫きます。
これは、日本帝国政府としても宣言です。例え、私が失職しても有効。
もし、将来政府が、この取り決めを無視したら陛下に意見して下さい。
』以上です。」
この語、書簡をバケツに入れ、ガスバーナーで焼き上げた。
消し炭になった書簡だったものを公表までしてくれた官房長官。
本日の記者会見は、以上で終了した。
* * *
「大統領! てぇーーへんだぁっ!」
「どうした。騒々しい。」
「これをご覧ください。」
秘書官が示した『タブレット』を目視した大統領。
「これは、日本政府のスポークスマン(報道官)ですね。何?
これは、私が送った書簡ではありませんか! 何を……
やぁっ………………やめろぉーーーーっ!」
『タブレット』に映し出された映像では、書簡をバケツに入れ、
ガスバーナーで焼き上げた。こんがり焼きあげられた書簡も映った。
「ふっ……ふざけるなあぁっ! 私の書簡がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
息も絶え絶えになり、暫く呼吸を整える事に集中した大統領。
「核を落せ! 日本帝国を照度にしろ!」
「無茶を言わないで下さい。大統領、」
「先に無茶を言ったのは、日本だ! ならば核を落して何が悪い!
アメリカだって落した! 我が国が落して何が悪い!」
「それは、1945年の話です。今では無理です。大統領。」
「やかましいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
* * *
今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、外務省事務次官、
防衛省事務次官だ。
「今日は緊急招集と言う事でした。挨拶は、不要です。まず、報告しなさい。事務次官。」
「はっ。フランス大統領府に潜入させた内通者よりの報告です。
『核を落せ! 日本帝国を焦土にしろ!
先に無茶を言ったのは、日本だ! ならば核を落して何が悪い!
アメリカだって落した! 我が国が落して何が悪い!』
以上になります。総統閣下。」
「録音は、取ってありますね。事務次官。」
「はい。フランス語の音声データを受け取りました。総統閣下。」
「そのフランス語版音声データと、日本語訳を併せて公表しなさい。」
「はっ。『フランス語版音声データと、日本語訳を併せて公表する。』
以上、復唱いたしました。総統閣下。」
「宜しい。では、仏蘭西海外県並びに準海外県の報告もしなさい。
防衛省事務次官。」
「はっ。食料・燃料を中心に物資を提供しています。今の所、
フランスからの軍事行動は、見受けられておりません。総統閣下。」
「それは、一時的な話です。それまでに、島全体を要塞化させなさい。
防衛省事務次官。」
「はっ。『フランス海外県並びに準海外県の島全体を要塞化させる。』
以上、復唱いたしました。総統閣下。」
「では、特に質問はありませんか。」
特になかった為、今回の会議は、これでお開きとなった。
* * *
場所は、フランス大統領府だ。
「君を解任する。二度と私の前に顔を見せるな。」
そう首席秘書官に言い放つフランス大統領だった。
「失礼します。大統領。」
「残念だよ…………まさか、君が日本の内通者だったとは……。」
無言で立ち去る首席秘書官だった。
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