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『日本改造計画』  作者: 桃太郎
改革への道(外交編)(2)
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改革への道(欧州編)(3)

「ふざけるなぁっ! 砂糖の価格が10倍だぞ。国内経済が、大混乱だ!」

「ハロウィンに、クリスマスに、砂糖の大量消費時期だってあるんだぞぉっ!」

「こっちも、大変なんだ! どうしてくれるぅっ!」

「つぅか、おまいらだって、賛成しただろうぅっ!」

「違う! お前のせいだぁっ!」

「砂糖を返せぇっ!」

「なんとかしろぉっ!」


 * * * 


 今日のリモート会議参加者は、日本帝国総理、外務省事務次官、同省欧州支局長だ。

「挨拶は、不要です。まず、報告しなさい。事務次官。」

「はっ。欧州支局長より報告申し上げます。総統閣下。」

「はっ。報告申し上げます。間諜スパイよりこちらが、上がってきました。総統閣下。」

 リモート会議用のアプリ機能で、共有された書類に目を通した。

「成程。よくやりました。まさしく『小田原評定』。外に何かありますか。」

「はっ。英国から抗議が、寄せられております。こちらになります。」

 先程と同じく共有された書類に目を通した。

 内容は、欧州向けの砂糖の価格を、全て十倍にしました。

 その為、EUから離脱した国も十倍にしました。それに対する抗議でした。

「成程。では、こう返しなさい。『お前の態度次第だ。』以上。」

「はっ。復唱いたします、『お前の態度次第だ。』以上です。総統閣下。」

「では、急いで対処してください。事務次官、欧州支局長。」

「はっ。総統閣下。」

 二人の声が、唱和した直後、画面がブラックアウトした。二人がカメラを切ったのだろう。

「お疲れ様です。総統。」

「何か含みのある言い方ですね。何があるのです。総理。」

「では、一つ。そろそろ教えて頂けませんか。総統。」

「何でしょう。総理。」

「欧州のウナギの件です。落とし所を、どの様にお考えでしょう。総統。」

「それなら、既にできています。よい機会ですし、教えて差し上げましょう。総理。」

「宜しくお願い致します。総統。」

「必要な要素は、三つです。一つ謝罪。一つ賠償。一つ再発防止の誓約。いいですね。」

「それ、かなりハードルが高いですよ。できる要素が見つかりません。」

 総理大臣の「はい。意味は、分かります。」は、「それ、かなりハードルが高いですよ。できる要素が見つかりません。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

「まず、謝罪はEU加盟国の国家元首を全員、天皇陛下の御前に並べて土下座。

 これにより、日本帝国に敵対する事の愚かさと、支払う代償の大きさを思い知らせます。」

「…………………………成程。流石、『冷酷』『冷血』『冷徹』な総統ですな。」

「失敬な。私は、極めて慈悲深い。勘違いも甚だしいと言わざるをえません。」

「では、何故、どの辺りが『慈悲深い』のでしょう。総統。」

「まず、『焼き土下座』ではない事。更に、核も小惑星もコロニーも落としていません。」

「だから、『慈悲深い』と言いたい訳ですか。総統。」

「まずは、アステロイドベルトから『手頃』な大きさの小惑星を宇宙船で牽引。

 高軌道で、待機。で、今稼働中のフランス原発に、一基五個の小惑星を落とします。

 これで、フランス原発を全て沈黙させた上で、広大な小麦畑を放射線被爆させます。

 電力と食料を同時に、ひっ迫させることが、可能な新兵器を入手できますよ。」

「…………………………成程。流石、『慈悲深い』総統は、言う事が違いますな。

 が、今思いつきました。一つ欠点があると思います。」

「伺いましょう。総理。」

「地球環境全てに甚大な被害をもたらしませんか。」

「そんな事は、百も承知。故に、『手頃』な大きさと言ったのです。

 地表に到達時の質量が、一から五グラムであれば、破壊範囲は、十キロメートル以内。

 それが、AIの試算です。後は、実際に落として様子を見ても間に合います。」

「あのぉ……第三次世界大戦を勃発させる気でしょうか。総統。」

「連中は、アメリカ、アフリカ、アジアを難百年も植民地支配した加害者です。

 挙句、日本に原爆を落とした加害者の共犯者です。

 そんな連中、小惑星の下敷きにして、根絶しても飽き足らない。違いますか。」

 総理大臣の

「しかし、『まだ』小惑星の下敷きにしていない。故に『慈悲深い』と言いたい訳ですか。」

は、

「つまり、小惑星で欧州を絨毯爆撃して更地化し、ヨーロッパ人を根絶すれば、第三次世界大戦にはならない訳ですね。総統。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

「素晴らしい。ようやく、『我が意を得たり』と言えますね。総理。」

「では、賠償と、再発防止の誓約については、どうなります。総統。」

「超国家間組織を新たに立ち上げます。初期加盟国は、日本、『アフリカ連邦』、EU。

 そこで、地球上の全ての野生動物を調査保護します。問題なのは、組構構成です。

 全ての加盟国は、議長国の監視監督監査の基、野生動物を調査保護します。

 勿論、議長国は、日本帝国です。名付けて、『地球生物保護機構』!

 英語で言うと、

 Globally

 Biological

 Conservation

 Organisation

 略して(GBCO)とします。当然、加盟国には、組織の運営費を分担負担させます。

 これなら、恒久的に賠償金を請求可能。以上です。総理。」

「とすると、EU代表に『地球生物保護機構』加盟を調印させる訳ですね。総統。」

「勿論、代替案は出しますよ。『経済制裁を強化する事』ですがね。

 更に、EUから日本企業の撤退、日本人の撤退、渡航禁止を経た『小惑星攻撃』。

 これで、問題は解決。最終手段に達する前に連中が屈する事を切に願います。」

「分かりました。では、現状できる事はありませんか。総統。」

「こちらをご覧ください。『地球生物保護機構憲章』の素案です。

 これを叩き台に、『地球生物保護機構憲章』を作って下さい。

 報告連絡相談を忘れずにお願いしますよ。総理。」

「承知いたしました。総統。」


 * * * 


 今日もリモート会議だ。参加者は、私、宮内庁長官、日本帝国総理、陛下であらせられる。

 まずは、宮内庁長官の挨拶があり、総理、私、陛下の順に挨拶する。

「本日は、陛下よりご発言が、ございます。宜しくお願い致します。総統閣下。」

「はい。こちらこそよろしくお願いします。長官。」

 続けて陛下にバトンが渡った。但し、文書をを代読するのは、長官だった。

「鰻絶滅危惧種指定の件です。欧州連合(EU)議長並びに加盟国の謝罪は、不要です。」

「………………陛下のご勅命とあらば、この総統、否はございません。拝命致しました。」

 微笑と共に首肯する陛下であらせられた。

 この日のリモート会議終了である。


 * * * 



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