表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『日本改造計画』  作者: 桃太郎
改革への道(外交編)(2)
18/44

改革への道(欧州編)(1)

 今日のリモート会議は、日本帝国総理、外務省事務次官、同省欧州支局長だ。

「挨拶は、不要です。まず、報告しなさい。事務次官。」

「はっ。欧州支局長より報告申し上げます。総統閣下。」

「はっ。報告申し上げます。EUより『うなぎ』を絶滅危惧種に指定するとの事です。」

「では、科学的な根拠……世界の海での漁獲数などの調査結果を見せなさい。」

「ありません。総統閣下。」

「無いとな。つまり、何の根拠もなく、『うなぎ』を『絶滅危惧種』呼ばわりですか……

 あいつら、『くじら』で、味をしめたな。また、他国の食文化を破壊する気か。

 よし、エネルギー庁長官を呼びなさい。」

「その前に、私から一つ宜しいでしょうか。総統。」

「発言を許可します。総理。」

「それは、今稼働している原発を潰して原爆に転用する気だと言う事ですね。総統。」

「それ以外の聞こえ方をしたのなら、私の言い方が、悪かったのでしょうね。」

 リモート会議である。にもかかわらず、空気が凍り付く音が聞こえたような気がした。

「それは、最終手段になりませんでしょうか。総統。」

「最終手段だからこそ、今から準備するのです。まず、『点検』と言う名目にしましょう。」

「あのぉ……第三次世界大戦を起こすつもりでしょうか。総統。」

「あの『チョビー』は、借金を踏み倒すために、第二次世界大戦を実施しました。

 私は、日本帝国の食文化保全の為、ヤる。私の方が、より高尚な理由だと断言します。」

「では、せめて経済制裁から始めませんか。総統。」

「手温い。『くじら』で、味をしめた挙句、他国の食文化を破壊する連中を消去。

 これは、正義の鉄槌です。そもそも植民地支配の謝罪も賠償もできていません。

 核兵器を一国一発で、許されるものはありません。違いますか。」

「では、提案があります。総統。」

「発言を許可します。総理。」

「こちらからヨーロッパ向けに輸出している商品に『逆関税』をかけませんか。総統。」

「成程。それなら全欧州市場が、大混乱する品目を選ぶべきでしょう。

 それでいきましょう。では、アフリカ支局長を呼びなさい。」

「時に、お伺いしますが、品目はなにを指定するつもりですか。総統。」

「食文化には、食文化で対抗します。報復もまた、食材とするべきでしょう。」

「はい。アフリカ支局長只今到着しました。」

 カメラの範囲内に、写りこむアフリカ支局長だった。

「ご苦労様です。アフリカ支局長、早速ですが、一つ命令です。『アフリカ連邦』に通達。

 欧州向けの輸出『砂糖』に、逆関税1000%をかけなさい。」

「は? それでは、価格が10倍になりますが……総統閣下。」

「君、聞こえなかったのかね。総統が、命じたのですよ。復唱しなさい。」

 そう発言した日本帝国総理だった。

「はっ。ひっ……ひつれいしましたぁっ! 欧州向けの輸出砂糖、逆関税1000%!

 すぐに、手配いたします。総統閣下。」

「それと総理。農水省と協議。日本からも輸出砂糖、逆関税1000%を実施しなさい。」

「その前に、私から一つ宜しいでしょうか。総統。」

「発言を許可します。総理。」

「アフリカには、連邦未加盟の国もあります。それに、アフリカ以外にも生産国はあります。

 それらには、どう対処するおつもりですか。」

「簡単です。米国、アフリカには、何もしません。それ以外の国には、二択を迫ります。

 欧州につくか、日本、『アフリカ連邦』につくのか。欧州に砂糖を売った国は処罰。

 そうですねぇ……加盟後に、一等級降格処分あたりが、妥当でしょう。

 それに、所詮は農産物。生産量がいきなり上がることなどありえません。

 すぐに、売り切れますよ。その後が見ものでしょうね。

 なんなら、欧州の外食産業とケーキ屋を絶滅させる。名づけて『絶滅の刃』!」

「それでは、アメリカから砂糖を仕入れているス●●●●●●ス一強になりそうですね。」

「私は、コ●ダ●●●派ですな。それは、アメリカ資本のチェーン店。大目に見ますよ。

 では、最後に今日の記者会見で、私の特別コメントを発表してください。

 原稿は、後程メールで、官房長官と総理に送ります。一同分かりましたね。」

「はっ。」

 この後、米国支局長とやり取りを終えると、リモート会議は、お開きである。


 * * * 


 時は、定例記者会見。場所は、定例記者会見場。発言するのは、官房長官。

「……最後に、総統閣下より『特別コメント』を頂戴しております。読み上げます。」

 そう言うと、懐から封筒を取り出し、そこから出した原稿を広げた官房長官だった。

「諸君、突然だが、うなぎは、好きですか。ちなみに私は、大好きです。

 産地にかかわらず、分け隔てなく好きです。

 時に、諸君に置かれては、何故うなぎが、あれほど高価なのかご存じですか。

 あれは、乱獲とそれに伴う絶滅防止の観点から、漁獲量を制限しているのです。

 つまり、需要に供給が追い付いていません。故に、高価なのです。

 即ち、日本帝国が、国家万民協力の基、うなぎと言う野生動物の保護に協力しています。

 そんな日本国民全員の努力を、踏みにじる輩がいます。ヨーロッパ、EUです。

 こともあろうに、『うなぎ』を『絶滅危惧種』扱いするそうです。

 しかも、漁獲量などの科学的情報は、一切提示されていません。つまり事実無根です。

 連中は、アジアを植民地支配しただけでは飽き足らず、日本の食文化を侵略する気です。

 二度と日本人にうなぎを食べさせない。そのような悪意に満ち充ちています。

 言語道断! 

 これは、戦争です。しかも、先に剣を抜いたのは、ヨーロッパ。

 ならば、売られたケンカであり、買わずの選択肢はありえません。

 このまま座して黙すれば、クジラの二の舞。うなぎが、食べられなくなります。

 しかし、今日本には、私がいます。我が目の黒い内は、決して屈しません。

 日本の食文化を守る為、日本人のうなぎを守る為、断固として戦い抜きます。

 既に、ヨーロッパは、日本を侵略すると言う愚を犯しました。この対価を払わせます。

 まずは、小手調べとして、経済制裁を決行し、敢行し、断行します。

 日本と『アフリカ連邦』から、ヨーロッパ向け輸出品に、逆関税をかけます。

 品目と税率は、砂糖に1000%です。これで価格は、十倍になります。

 恐らく、ヨーロッパも報復するでしょう。が、我らは日本人です。

 アジアの植民地支配を失敗させた実績もあります。

 挙国一致の精神を以て、ヨーロッパ人の侵略の魔の手から日本とうなぎを守りましょう。

 本日は、ご清聴ありがとうございました。」


 * * * 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ