『多夫多妻』ドラマ(1)
「ただいまぁぁ。」
「おかえり。舞奈。どうでした。」
「羽振りは、よかったわぁぁ。中年だけあって、役付きなんだってぇぇ。
あっ、そうそうクレカも日本製だったから、年収も結構あんじゃねぇぇ。」
「そうよね。K国製やC国製、昨今じゃ、米国製でも駄目ね。
じゃ。その人の……ひょろずさんの正妻を目指すの?」
「んーーっ……そりゃ、火萬ちんの下半身性能次第かなぁぁ。」
「やめときなさい。『天は二物を与えず』なんだし、今は『多夫多妻』なんだから。
どうせ、向こうだって、何人も相手にしているのでしょう。あなたは、三人でしょ。」
「そうそう、こないだ、一人別れたから、『今は』三人だしぃぃ。」
「その言葉使い、家の中だけになさい。『です』『ます』よ。忘れないでね。」
「ふぁいぃぃ。母さん。」
* * *
「おかえりなさい。あなた。」
「おかえりなさい。おとうさん。」
「おかえりなさい。忠大。」
「おかえりなさい。忠大。」
「おかえりなさい。忠大。」
「ただいま。お父さん、お母さん、おばあちゃん、那奈、勇希。」
我が子、勇希を抱き上げる納形忠大だった。
「だめですよ。ゆうき。おとうさんのネクタイは、ひっぱっちゃダメ。」
勇希を父親の手から受け取る母、那奈だった。
「今日の献立は、何かな。那奈。」
「たけのこごはん、きんぴらごぼう、にくじゃが、おしんこ、ねぎのみそしるです。」
「大丈夫です。全て私が監視監査監督しました。」
と言う意味の首肯をした忠大の祖母だった。
「じゃ、俺、風呂入るね。」
「はい。」
そう言って我が子を祖母に預け、一緒に浴室に向かう那奈。
料理を温め直しに台所に向かう忠大の母。
まず、浴室内で夫婦生活の一回戦をいたした二人だった。
「美味しいよ。一年ぶりの筍ご飯だ。美味しい。きんぴら……我が家の味になってる。」
「おばあさまから、すべてのてほどきをえました。かんぺきにさいげんできてます。
よかった。で、あなた。れいのじょせいは、どうなりました。きょうあったのでしょう。」
「んーーっ。それが、ホテルに誘う直前に帰っちゃった。セックスは、してない。」
「だから、いったでしょう。さんかいめの、デートで、セックスきょひは、みゃくなし。
そのオンナとは、にどとれんらくしないこと。いますぐケータイをブロックしなさい。」
「…………………………わかったよ。」
言われた通り、携帯をブロックした忠大だった。
「はい。よくできました。つぎのじょせいをさがすときは、わたしもさんかします。」
「僕は、勇希が可愛い。二人目の女性に種付けする必要性を感じないけど。」
「ダメです。あなたは、すぐれたオスなのですから。ソトにおんなをもつべきです。」
「分かったよ。でも、君以外の女性を愛するなんて出来そうもないし、上手くいかないんだ。
君と二人目の子供を作りたい。そう思えるんだ。」
「おんなとしては、よろこぶべきです。が、あなたは、すぐれたオスとしてイキる。
それが、わたしのほこりでもあるのです。もっとがんばってください。」
「分かった。頑張ってみるよ。それより、二回戦したい。いいよね。」
「はい。それなら、しっかりタベてくださいね。」
「分かった。」
そう言って。出された料理を完食した忠大だった。
* * *
「そうなると、難しいわね。」
本当に難しい表情を浮かべる忠大の祖母だった。
「憲法と法律が変わったおかげで、お爺様が建てたこの家も国に召し上げられました。」
「何とか、借家として住む事は認められましたが、財産は僅かですね。」
「それでも、生命保険だけは、認められています。私の生保は忠大のもの。
あなた達夫婦の生保は、勇希のもの。何とか財産を残す事はできました。」
そう言う忠大の祖母だった。
「私達の死後入るお金ですから、貴女が、きちんと管理なさい。」
「はい。わかっております。おばあさま、おかあさま、おとうさま。」
「もし、忠大との間に誰かが、子を設けたなら、私は隠れます。
後は、貴方達がしっかりなさい。いいですね。」
「わかっています。おかあさま。」
* * *
これが、私が考えた『相続禁止』と『多夫多妻』制度だ。
某漫画家に。漫画家をお願いした。十三話描いてもらったら、アニメ化、ドラマ化する。
すると、国民は、『相続禁止』も『多夫多妻』も抵抗なく受け入れる事だろう。
これは、英語、フランス語、アラビア語、など各国言語版も作成する。
で、アフリカ連邦、南米、中東、インド、東南アジアでも放送する。
ひょっとすると、共感を得られる可能性もありえる。
そこから加盟に舵を切ってくれる可能性もありえる。
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