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『日本改造計画』  作者: 桃太郎
改革への道(日本編)(2)
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引越し(2)物件下見

 こうして、ようやく『下見物件』に到着した。第一印象は『間口が狭い頑丈そうな建屋』。

「ふむ。隣家が存在するかの如く偽装しているが、実は、一軒家なのですね。」

「ご慧眼御見それいたしました。鉄筋コンクリート製の壁で、四方を囲っています。

 が、五軒の物件を地下道で、繋いでおります。ですから、一旦地下へと降りたのです。」

 受け答えするのは、今まで運転を担当していた者の上司三等陸佐だ。

「すると、出入り口は、四か所。しかも脱出路完備ですか。防御力は如何程です。」

「申し訳ございません。私の権限では、お答え致しかねます。総統閣下。」

「いえ、それは貴方の責ではありません。こちらこそ失礼しました。三等陸佐。」

 構造を言葉で説明すると、木造日本家屋の周囲を囲う様に、四件の建屋がある。

 それらは、長方形の武骨な鉄筋コンクリートの塀で囲まれている。

 最初に入るのは、その建屋だ。そこから、自動車事エレベーターに乗り、地下へ降りる。

 地下へと到達すると、円盤状の床板が開店する事で、自動車の向きを変える。

 更に、地下道で、内部に存在する。日本家屋の真下まで移動する。

 頑丈そうな金属英の扉の前で止まると、出所不明な監視装置による認証を受け開門。

「お待ち申し上げておりました。総統閣下。」

 首を垂れつつ、そう挨拶したのは、メイド服を着こなした女性達の代表だ。

 よく見ると、四名中一人だけ帽子の形が異なる。発言した人物だ。

「本日は、お越し下さり、恐縮です。ご案内役を務めます。陽炎と申します。

 宜しくお願い申し上げます。総統閣下。」

「ふむ……では、二つ尋ねます。宜しいか。陽炎殿。」

「はい。何なりとお申し付けください。総統閣下。」

「一つ、君の階級。一つ、控えている者達の自己紹介をお願いしますよ。陽炎殿。」

「……何故、お分かりに……なられたのでしょう。総統閣下。」

「強いて言えば『匂い』かな。自衛官である事は、ともかく階級までは不明。

 で、何時になったら、教えて下さるのでしょうか。陽炎殿。」

「はっ。大変失礼いたしました。小官は、陽炎三等陸佐であります。」

 軍用長靴を叩き鳴らす軽快な音と共に、一部の隙も無い敬礼する三等陸佐。

「漁火一等陸尉であります。」

「鬼灯二等陸尉であります。」

「炎摩二等陸尉であります。」

 靴の音を合図に、一人づつ上官同様の敬礼と共に名乗るメイド服姿の女性自衛官。

「私は、防衛省の規律に疎いのです。用があるときは、各個人に話しかけますよ。

 あなたを飛び越えてです。問題ありませんね。陽炎。」

「はっ。どのように呼んでいただいても構いません。総統閣下。」

「では、炎摩二等陸尉。通名ではなく、本名をお願いします。」

「はっ。エンマ・ポロポ二等陸尉であります。総統閣下。」

「……と言う事は、アフリカの旧フランス植民地出身者ですね。エンマ二等陸尉。」

「はい。仰る通りにございます。総統閣下。」

「国名は、なんでしょう。エンマ二等陸尉。」

 肌の色と名前から、アルジェリア、シエラレオネ、リビアかと当たりを付けていた。

「中央アフリカです。総統閣下。」

「分かりました。ありがとうございます。エンマ。」

 この後、陽炎に話しかけ、全員と握手を交わし、送迎した者達と別れた。

 第一印象の間口が狭い頑丈そうな建屋。その内側に広い日本家屋が用意されていた。

「こちらが、庭になります。如何でしょう。総統閣下。」

 先頭だって私を案内し、そう話しかけるのは、陽炎だった。

「中と外で、全く異なる容貌ですね。武家屋敷の周囲に、武骨で頑丈そうな出城。

 戦ごしらえと、草木生い茂る庭園。ここまでは、よい構造です。陽炎。」

「ありがとうございます。総統閣下。」

 その後、書斎、寝室、風呂、トイレ、ゴミの処理能力、様々な防御機構を見学。

「素晴らしい。一見只の日本家屋ですが、現行技術でここまでの機能を詰め込みましたか。」

「お気に召され、なによりです。総統閣下、時にそろそろお昼のお時間です。」

「ん。そんな時間でしたか。では、案内してください。陽炎。」

 こうして、食堂に案内された。ちなみに、メニューも和食風だった。

 鰆の西京焼き、ひじき、きんぴらごぼう、冷ややっこ、御新香、葱のみそ汁、白米。

「鰆を焦がさないように焼いただけでも素晴らしい。しかも身が、ふっくらしていますね。

 煮物も、味が濃すぎない。非の打ちどころがありません。」

「はっ。お褒めに預かり恐悦至極にございます。総統閣下。」

 こうして、浴室や寝室の使い心地まで、確認して今日は、終わった。


 * * * 



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