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『日本改造計画』  作者: 桃太郎
改革への道(日本編)(2)
10/47

国内問題『シングルマザー』支援

 今日は、NPO団体との共同作業だ。私自身数日前NPO団体に参加している。

「『シングルマザー支援』ですか。話には、聞いています。貧困問題著しいとですね。」

「故に私共『菩薩手業』が、支援しております。噂では弱者の味方なのですね。総統閣下。」

 ぼさつしゅぎょう? 誤解しそうな名前だな。名刺を確認しつつ思いを馳せた。

「噂ではありません。私は、弱者の味方ですよ。故に、物価半減令を実施しました。

 それに、一日二千円のベーシックインカムも準備中です。

 何しろ、日本中全ての小売店と、飲食店に静脈認証読取器を配る必要がありますから。」

「分かります。時間がかかる事くらい把握しています。ですので、補助金をお願いします。政府からの補助金さえあれば、ベーシックインカム導入まで時間稼ぎができます。何卒……」

 こういう時によく言われるのが、『選択と集中』だ。が、何を根拠に『選択』するのやら。

 むしろ、『ばら撒き』故に無差別にやるべきだ。NPO団体には、全て補助金を渡す。

 特に、『シングルマザー』と言う事は、幼少期の子供を抱えている。

 救済する事、是非に及ばず。私の意見は、固まっていた。だが、しかし、けれど言うべし。

「補助金を付ける事、やぶさかではありません。が、『只で』とはなりません。」

「では、どうすれば、『補助金』を頂戴できるのでしょうか。総統閣下。」

「二つあります。『菩薩手業』代表。一つ、私を副代表に任ずる事。

 二つ、私による講演会開催です。さすれば、補助金を付けましょう。

 金額は、講演会を全て視聴した者一人につき、五十万円。こんなものですね。」


 * * * 


 こうして、今日に至る。参加者は、119名、補助金額は5950万円となる。

 これは、子供も含めての数字だ。そこは、分け隔てなく数える事とした。

「では、これより『副代表』による講演を始めます。どうぞ、『副代表』。」

 紹介されて壇上に登った。こういう時は、名前より役職名の方が都合がよい。

 壇上で、マイクを前に、語りだす私……『副代表』だった。

「私の弟、諸君らが愛したガルマ・ザビは、死んだ! 何故だ?」

 総統閣下もとい、『副代表』の「只今ご紹介に預かりました『副代表』です。」は、「私の弟、諸君らが愛したガルマ・ザビは、死んだ! 何故だ?」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某総帥とも無関係に相違ない。

「諸君らは、甘えている! 諸君らは、恵まれている! 諸君らは、困窮などしていない!

 私に言わせれば、甘える先、手を差し伸べる者、飴を差し出す者がいるだけ恵まれている。

 しかも、諸君らには、国から五千万円以上の『補助金』が、贈呈される。

 が、只ではない。私の講演を全員が、最後まで聴き終えることが、条件だ。

 それ程、重要な情報を語る。必ず、共有する事。」

 会場に充満した沈黙の空気に、私の言葉が浸透したと言う手ごたえを感じ取った。

「これからの話は、全て実話を基にしたものです。故に、皆さんの身にも起こり得ます。

 あるシングルマザー……仮に『A子』と、彼女の子供を仮に『ジョナサン』と呼びます。

 で、『A子』の夫を『D雄』と呼びます。で、ここからが重要です。

 『D雄』が、経営する会社が、倒産しました。社内資産を全て売却する事で借金は相殺。

 が、食い扶持がなくなりました。『A子』は、即座にアルバイトの仕事を見つけました。

 そこで、何とか家族を食べさせるべく働き始めたのです。

 が、『D雄』の就職活動は上手くいかなかったようです。

 これは、貴女方『シングルマザー』とは、大きく異なります。否、劣悪です。

 何故なら、『A子』が、扶養しているのは、子供に加えて夫もですから。」

 何人かの女性が、頷いている事実を把握した。

「ここで、動きがあったのは、『ジョナサン』が、保育園に通いだした事です。

 保育園の指示に従い、『弁当』を詰めて『ジョナサン』に持たせた『A子』でした。

 が、この後この一家に襲い掛かる大事件が、勃発します。

 保育園側から、『A子』に対し、助言と言う形で、料理教室を紹介されたのです。何故?」

 今度こそ、まったく意味不明と言う空気が、充満した会場内だった。

「原因は、『ジョナサン』に持たせた『弁当』です。一口に『弁当』と言っても様々です。

 が、『A子』は、家計に配慮しなければなりません。故に『弁当』は、日の丸弁当でした。

 ここまでは、事実です。

 それを見た保育園側は、こう解釈したのでしょう。

 『ああ、この母親は、料理の何たるかも知らないのですね。』

 そこで、『的外れな提案』……『料理教室』を提案してきたのです。

 ここでまた事実に話を戻します。

 しかし、そんな事をしても問題は解決しません。それどころか悪化するのが精々です。

 何しろ、『料理教室』に支払う『月謝』を、負担するのは保育園ではありません。

 『A子』なのです。故に、家計に困る『A子』は、何とかして回避しなければなりません。

 またも、保育園側に話を戻します。

 彼らにも『責務』と『義務』と『職務』がある事は、言うまでもありません。

 彼らは、『A子』の『弁当』に『おかず』が、入っていないことをこう解釈しました。

 これは、『ネグレクト』だ。すると、彼らの『責務』と『義務』と『職務』に抵触します。

 いい気な物です。他人の『A子』のお金で、自分の職務を達成させる気なのですから。

 あまつさえ、改善されなければ、『ネグレクト』を理由に、子供を拉致監禁。

 更に、『親権剥奪訴訟』に踏み切る。子供は、得体も知れない施設に拉致監禁される。

 その様な可能性も、有りえたのです。しかし、そうはならなかった。何故ですか?」

「坊やだったからさ。」

 室内に充満する疑問の空気は、「坊やだったからさ。」と聞こえた様な気がしたが、きっと気のせいだろう。

 某赤い彗星とも無関係に相違ない。

「『A子』は、一円でも安くおかずを作り上げました。それこそ、試行錯誤を尽くしてね。

 では、ここで問題です。二~三歳の子供たる『ジョナサン』に何ができたでしょう。

 『料理教室』を『ネグレクト』による『親権剥奪訴訟』を回避するにおいてですよ。」

 またも、室内に充満したのは、疑問の空気だけだった。

「答えは、簡単です。持たされた弁当を完食することです。するとこう解釈されるでしょう。

 『この子は、こういうおかずが好みで、母親は、子供の為に料理していますね。』

 このように、保育園側が、解釈した為に、以降なにも言わなくなりました。

 こうして、この一家は、一家離散の危機を乗り越えたのです。

 では、貴女方は、何をしています。貴女方の離婚理由など知る由も知る気もありません。

 しかし、子供だけではなく、無収入になった夫をも食べさせていた『A子』と比べなさい。

 しかも、『A子』が、子育てをしていたころ、小児医療は有償でした。

 『A子』と比べなさい。貴女方は、何をしています? もう一度、最初に話を戻します。

 諸君らは、甘えている! 諸君らは、恵まれている! 諸君らは、困窮などしていない!」

 ここで、今日の話は、終わりとばかりに、壇上を去った。


 * * * 




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