再選挙までの道程
時は、2025年2月某日。処は、都内某所喫茶店。
二人の男が、秘密裏に会い、激論を交わそうとしている。
「お早うございます。」
向かい合って着席した国民民主党代表と、立憲民主党代表だった。
「急なお呼びだてに応じて頂きありがとうございます。代表。」
「いえいえ、折角の代表会談です。『実り』多き会談にしましょう。」
「では、率直に。実は、折り入って『お願い』があります。二つ。」
「お伺いしましょう。」
「一つ、『内閣不信任案』への協力要請です。」
「先程、二つと仰いました。それも、お伺いしましょう。」
「次の『選挙協力』です。」
「それは、『内閣不信任案』を受けた与党は、解散総選挙に踏み切る訳ですか。必ず。」
「当然でしょう。もし、内閣総辞職の上、また総裁選して、高市早苗ですか。
それこそ、前総理としては、いい面の皮ですよ。違いますか。」
「成程、すると、あなたとしては、『178万円』が、難航しているから、
『卓袱台返し』しようと言う訳ですか。」
「それは、『選択的夫婦別姓制度』が、上手く行きそうだから、やらない訳ですか。」
「はっ……はっ……はっ、何の事やら……。」
「しかし、あなた、舐められていますよ。自民と財務省から。」
「何の事でしょう。」
「水面下の動きで分かりますよ。今、維新が、売り込んでいます。
あなたと同じようにね。そして、あなたと違う主張をしています。」
「それなら、知っています。維新ですから、『教育無償化』でしたね。」
「はい。立憲、維新、どちらも共通して言える『特徴』があります。分かりますか。」
「ええ。『増税』を『阻害』しない事ですよね。ですが、それだけで……。」
左手で、立憲民主党代表の発言を遮った国民民主党代表だった。
「既に、ですよ。各党、与党にすり寄って協力関係を構築しつつあります。
故に、今こそ『押し時』です。『裏金問題』に続いて『新総理』のやらかし。どうです。」
「今やれば、政権交代も夢ではない。そう言いたい訳ですか。」
「法案を提出するなら、野党としてより、与党としてではありませんかね。」
「…………そこまで仰るなら、頂けますでしょうか。党内の調整をしたいものですので。」
「ええ、はい。ウチの立候補予定選挙区です。どうぞ。」
「…………前回と同じようですね。」
「ええ。」
「……分かりました。ご返事は、党内の調整後になります。」
「構いませんが、何しろ時間が無い。お返事は、可及的速やかにお願いします。」
そう言って。腰を浮かしかける国民民主党代表だった。
「もうお帰りですか。」
「忙しい身な物で、お先に失礼します。」
そう言って立ち去った国民民主党代表だった。
彼の後ろ姿を見送ると、携帯を取り出し、連絡を取る立憲民主党代表だった。
* * *
その日の夜。会議室に、集合していたのは、国民民主党幹部一同だった。
「お見事です。代表。これで、立民、維新、共産、れいわに参政まで『内閣不信任案』賛成。
立民、維新、共産は、選挙協力まで取り付けたのですか。一日で。」
「当然ですよ。焦っているのは、連中とて同じこと。しかも、与党支持率は、大凋落。
ここを『好機!』と、プッシュしただけですよ。」
「ここまでは、計画通りですね。代表。」
「そう言う事だ、ここからが、正念場。気を引き締めていきますよぉ!」
* * *
こうして、その日……『内閣不信任決議案』提出は、やって来た。
2月26日水曜日の事だった。
野党複数政党などによる賛成多数で可決。
こうして、予算の年度内成立を焦るあまり、翌日解散総選挙に踏み切った与党だった。
3月23日……それが、選挙日だった。
* * *
こうして、今日は、選挙対策会議の為、集合した国民民主党幹部一同だった。
「皆さん、これが各党の公約です。」
「なんだ、なんだ。各党とも前回の焼き直しレベルじゃねぇか。」
「つか、自民は、まだ『楽しい国』に、拘ってんのか。駄目だって分かってねえんだな。」
「じゃ、そう言う事で、ウチの公約は、これです。PDFにして下さい。」
「えっ! 二つだけですか?」
「だからです。10個も20個も言われたって、覚えきれません。
要点を絞った方が、『景気対策』らしい。では、人と会いますからお先に失礼。」
こうして、会議室を後にした国民民主党代表だった。
「……そういや、代表、最近、人と逢う事が多いよな。」
「こらこら、無駄口叩かない。比例の立候補者選定に、名簿、ポスター作成。
やる事は、山積みだよ。各人作業の進捗報告。」
「知り合いに声を掛けて、19人です。これ、どうぞ。」
「おれは、13人です。これ、どうぞ。」
「あんがとさん。……………………よっしゃ! これで、159人。予定通り!」
* * *
場所は、都内某所レンタルルームだ。
既に、カメラを向けられ、準備万端着席した国民民主党代表だった。
カメラマン兼合いの手担当から、無言で左手の指を折る動作で、合図された代表。
左手が、『グー』になった瞬間、カメラのスイッチを入れたカメラマン兼合いの手担当。
「国民民主党代表、玉木雄一郎です。本日は宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。
まず、さっそくですが、国民民主党代表には、選挙公約についてお願いします。」
「はい。これは、二つあります。まず、景気対策として『消費税ゼロ』です。
二つ目は、物価高対策として『半額セール』を実施させます。」
「二つだけですか。税制とか、安全保障とか、外交とか、災害対策などは如何でしょう。」
「そんなに一度に、詰め込まれても、覚えきれませんよ。それに、外交何て食えない。
今まさに、国民が抱えている問題を解決する。それが、『今』やらねばならない。」
「つまり、今回選挙の争点は、『即効性』だと、お考えなのですね。」
「その通り。」
「つまり、中長期的なお話しは、いずれ、おいおい、明らかにする訳ですね。」
「その通り。」
「では、5W1Hの観点から、具体的な手段(How)についてお願い致します。」
「まず、『消費税ゼロ』ですが、来年度予算成立後に、『消費税法廃止法案』を提出します。
まずは、野党との協議から始めますので、来年成立。三年後施行予定です。」
「つまり、三年後には、消費税そのものが、消滅する訳ですね。」
「その通り。」
「素晴らしい事です。これで、長年国民を苦しめて来た懸案事項が、消滅します。
では、二つ目の『半額セール』について、如何なるものでしょうか?」
「これは、『全て』の『小売店飲食店』が、『全て』の『商品』を『半額』で売ります。」
「それは、米や肉魚野菜などの食料品、医薬品、洗剤など品目が、ありますが。」
「全て『半額』です。」
「それは、素晴らしい事です。では、具体的な手段(How)についてお願い致します。」
「勿論、総理大臣命令です。総理大臣の名において『半額セール』をやれ!
そう命じられれば、誰も逆らえません。この日本では。」
「つまり、代表が、総理大臣にならなければ、ならない。逆に言えば、代表を総理にさえ、
すればできる訳ですか。しかし、お店が潰れませんか。」
「よく聞いてくれました。そこも考えてあります。」
「では、具体的な手段(How)についてお願い致します。」
「全ての小売店に補助金をつけます。『半額セール』による損失と『同額』のです。」
「成程。では、具体的な手段(How)についてお願い致します。事務手続きの観点から。」
「まず、法人税です。ご存じですよね。」
「はい。全ての企業が、国に納税していますね。」
「実は、法人税の金額算出証明の為、書類を提出させています。」
「はい。存じております。確定申告の企業版と言う位置づけですね。」
「その通り。その際に、『半額セール』による損失金額を記載してくれればよい。
役人が、それを確認して、『同額』を銀行振込します。」
「成程。二億人の国民全員に銀行振込すると、振込手数料も単純計算で二億倍になります。
が、これなら、振込手数料も、数百件で済みます。大幅な無駄の削減ですね。」
「そうでしょう。コンビニだって、各店舗で法人税払っている訳では無いんです。
本社が、まとめてやっています。故に、法人税にしました。」
「しかし、『個人経営』のお店は、『確定申告』になりませんか。」
「それとて、『半額セール』による損失金額を記載する欄を、書類に加えます。
一応、念の為『半額セール』を行う場合、昨年の売上の半分を補助金として与えます。
過不足は、『半額セール』を実施した後で、確定申告する際に記入させます。
それなら、結果は同じでしょう。数百件から数千件に増えるだけ。違いますか?」
「成程。それだけ大規模な改革なら、総理大臣にでもならないと無理ですね。
では、具体的な手段(How)についてお願い致します。総理大臣になるその観点から。」
「比例代表を『国民民主党』で、投票して下さい。『国民』でも大丈夫です。」
「それだけですか?」
「日本人の有権者は、約一億人です。その七割、七千万票が必要です。
それだけあれば、私は総理になれる。お願いします。」
「毎日のお買い物、外食を『半額』にしたい方々は、『国民』に投票して下さい。
では、本日は以上になります。ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」
以上で、動画を締めくくった。
* * *
後日、場所は、都内某所レンタルルーム。
「国民民主党代表、玉木雄一郎です。本日は宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。本日は、質問にお答え願います。代表。」
「質問? 何でしょう?」
「前回動画の、コメント欄にありました。『財源は?』だそうです。」
「それですか。何処のザイム真理教信者でしょう。お答えします。聞いて驚きですよ。
これは、財務省の『隠し財産』を使います。その額、何と『一兆ドル』!」
「それは、凄い! では、5W1Hの観点から、何を(What)、何故(Why)、
具体的な手段(How)についてお願い致します。『隠し財産』についてです。」
「はい。実は、財務相が、買い貯めしているんですよ。『隠し財産』をね。
で、何を(What)ですが、『外国国債』それも『アメリカ』です。
何故(Why)ですが、『天下り先』への『撒き餌』です。
具体的な手段(How)ですが、これは、『金融商品』ですから購入しただけです。」
「成程、それが、『米国国債』だと、しかも、『一兆米ドル』だと言う訳ですか。
すると、日本円に直すと、約『150兆円』となります。ですが……。」
「ですが? 何でしょう。」
「民主党政権では、発見できなかった訳ですよ。『見つからない』可能性もあり得ます。
見つからなかった場合、如何なさるお積りでしょうか。代表。」
「その時は、国債発行ですね。で、民主党政権では、何も発見できませんでした。
総理大臣権限を使ったにもかかわらずですよ。故に、私が総理になる必要があります。」
「成程、日本人の有権者は、約一億人。その内、七千万票さえあれば代表が総理になれます。
毎日のお買い物、外食を『半額』にしたい方々は、比例を『国民』に投票して下さい。
では、本日は以上になります。ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」
以上で、動画を締めくくった。
* * *
後日、場所は、都内某所レンタルルーム。
「国民民主党代表、玉木雄一郎です。本日は宜しくお願い致します。」
「こちらこそ、宜しくお願い致します。本日は、質問にお答え願います。代表。」
「質問? 何でしょう?」
「動画の、コメント欄にありました。『七千万票で総理になれますか?』だそうです。」
「それですか。では、まずはおさらいです。今の衆議院選挙の制度について知ってますか。」
「はい。小選挙区比例代表並立制で、小選挙区は、289人。比例代表は、176人です。
で、代表は、比例代表で『七千万票あれば総理になれる』そう仰いました。」
「正解です。で、『七千万票』あれば、比例代表だけで、約150議席とれます。
すると、小選挙区の方は、自公合計120、立民80、維新40、国民40、残り泡沫。
そうなれば、比例を加えても自公合計140議席これで、こちらの勝ちです。」
「成程。石破総理の前例通りですね。過半数でなくとも、決選投票で、最大値をとれます。
これで、次の総理大臣は、代表になりますね。」
「そう言う事です。」
「では、毎日のお買い物、外食を『半額』にしたい方々は、比例を『国民』に、
投票して下さい。では、本日は以上になります。ありがとうございます。」
「こちらこそ、ありがとうございます。」
以上で、動画を締めくくった。
* * *
勿論、選挙活動は、ネットだけではない。テレビも打って出る。
狙うのは、勿論、不祥事を起こしたあの局だ。
「え! 本当にやるんですか! 『物価半額』!」
「勿論、損失分は、補助金で、小売店を支援しますよ。国の予算でね。」
「私も、『半額』で、買い物したい!」
「それには、必要な物があります。」
「何です?」
「『総理大臣権限』ですよ。これが無いと、予算を決められない。」
「では、『半額』で、買い物したい方は、比例代表は、『国民』できまり!」
他にも用意する。
「え! 本当にあるんですか? 『一兆ドル』!」
「あります。と口で言うのは、簡単です。ですが、証明するには、必要な物があります。
『総理大臣権限』ですよ。これさえあれば、東京地検特捜部だって動かせる。」
「成程! 霞が関をガサ入れすれば、でてきますよね!」
「という訳で、比例代表は、『国民』できまり!」
こんな感じのテレビCMを一日中流す。
勿論、広告料は、相手の足元を見た低価格でできた。
* * *
更に、討論会だ。ここが正面場である。参加政党は、下記の通りとなる。
自由民主党
立憲民主党
日本維新の会
公明党
日本共産党
国民民主党
国民民主党
社会民主党
参政党
みんなでつくる党
安楽死制度を考える会
日本保守党
ここで、『物価半額』の重要性を強調。
消費税や所得税の減税は、時間がかかる。
まず、消費税は、法改正が必要で、数年かかる。
所得税は、翌年の確定申告までかかる。
教育無償化では、未成年の子供がいなければ、意味がない。
しかし、『物価半額』は、総理にさえなれば、翌日から可能。
そして、国民全員に恩恵を与える。
勿論、財源は、財務相の『隠し財産』だ。
しかし、具体的な数字を語る事を要求する者もいるだろう。
例として、セイユウを挙げよう。
公表されている純利益が、176億円。
この約半分『90億円』を負担すればよい。
全ての小売店なら、百社あるとして、100倍だから『九千億円』となる。
国債発行でも問題ない。
* * *
そんなこんなで、投票日。即日開票で、なんと、6千5百万票を獲得。
当選者は、181人(内比例代表139人)だった。他の政党は、以下の通り
自由民主党・・・・101議席(内比例代表14議席)
立憲民主党・・・・79議席(内比例代表7議席)
日本維新の会・・・51議席(内比例代表2議席)
公明党・・・・・・33議席(内比例代表2議席)
れいわ新選組・・・11議席(内比例代表1議席)
日本共産党・・・・2議席(内比例代表0議席)
その他・・・・・・9議席(内比例代表0議席)
首班指名も、予想通り決選投票で、国民民主党代表に決まった。
これで、ようやく次の段階に進める。まだまだ先は長い。
* * *
本作品は、某政治家にDMで送りつけましたが、無視されました。
そこで、公開します。
この方法なら、次の選挙後に、総理大臣になる事も可能です。
そして、日本を『改革』『改造』『改良』する事も可能です。
お目汚しかと思いますが、どうぞご覧ください。