動作詠唱
ベルチャーたちは飯匙倩邸の本をくまなく探したが、結局マイナス能力素の本を見つけることはできなかった。
「やっぱり偶然じゃないかしら?」
併し照夜淸は反論する。
「ちげえよ、間違いなくあれはマイナス能力素だ。そうでなければあんなことにはならない」
「だったら証拠を見せ・・・
チリンチリン♪
誰かが呼び鈴を押したようである。
「誰だろう?飯匙倩様が戻られたのか?」
城門を開けると諒や繭たちが入って来た。
「あっ、お前!! 元凶である炎を出せよ!」
諒はいきなりの命令に少しピキった。
「いきなりなんて口調なの?友達であろうが礼節というものはしっかり保持すべきよ」
そういうとグラビティアタックで照夜淸をしばいた。
「いてっ」
ベルチャーは再び敦圉いて言う。
「貴方がマイナス能力素を持っているというわけね?出しなさい!」
ベルチャーも突然の命令口調だったので何があったか尋ねる。
・・・
・・・・・・
結局飯匙倩邸の大量の本のそれがないらしい。併し飯匙倩が言うには本があるはずなんだが・・・。
諒は飯匙倩を包んだイグシステンスを復活させ、飯匙倩に言わせることにした。
「飯匙倩さま・・・ってか、なんで今まで存在を消していたのよ!?」
とベルチャーが尋ねる。
「単なる陽動作戦だ」
飯匙倩の存在がわからなくなれば常に六天王は完全に攻撃側に回る。他にはカムラの動きを攪乱するという手もあった。現にその陽動作戦は成功している。
<飯「いやはや、久闊を叙する形にはなりますがマイナス能力素を探すことになりましてね」>
<ベ「ちょっと待って、ホントにマイナス能力素なんて存在するの!?」>
<飯「さて凜さん、その本棚を出すために、おいてあるコーヒーカップを左に3回転、その後一回上げて机に置き、カップの取っ手をペンの方向に向けてください」>
かしこまりーと、凛はコーヒーカップを動かした。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「うわっ、なんだなんだ!?」
すると本棚は大きく回転し、別の本が現れた。
「これは一体」
諒が尋ねる。
<諒「これがマイナス能力素の本なの?」>
<飯「まさしく」>
ベルチャーたちはその本を漁り始めた。
「なんかいろいろな本があるな・・・ジャンプを2回してボールを放つ技とか。ってこれ詠唱技じゃないよね!?」
<飯「これを私は動作詠唱と呼んでいます」>
<ベ「動作、詠唱?」>
<飯「ある一定の動作をすれば発生する能力素の出し方のことですね。例えば諒が持っている白い炎は、伏せて踏ん張りながら力を出される。みたいなものです」>
諒が知っている動作詠唱とは異なるものではあったが、確かにやってる状態は同じだ。バルマー脳波になった時と体育の時にやったこととほぼ変わっていない。
<飯「とりあえずこれは副作用として普通の能力素で防御は皆無で、物理的に攻撃する必要があります」>
「つまりは、これらの本を読んでいけばいいわけね?」
<飯「なるべくなら覚えておきましょう。照夜淸さんや繭さんは特に狙われやすいから必須ですね」>
「は~、また宿題が増えたのかよー」
照夜淸は半分憮した声で本を漁り始めた。
「併しこれを覚えたところで、テティス軍団と同やって対峙するのよ?」
<飯「絶死、超直死を使わずにアヴェンジアンデッドに攻撃を与えられます。とはいえ、絶死の方が早いかもしれませんが、アヴェンジアンデットはこの攻撃がウィークポイントなんですよ」>
「へぇ~、他には剣を3回宙に回して突き刺したらマイナス能力素の地震雷をうてるとか」
ブラックマンバやセグロ、ナミブ達も本を取り始めた。
<飯「今回は実戦勉強会になりそうですね」>
皆はその本たちをまじまじと読んでいた。




