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閉明塞聡  作者: 大和八木
人間VSカミ
87/99

白い炎

・・・・・・・。

・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

「う~ん・・・」

結局授業は3限まで進められることとなったが、問題はその3限目である。

3限目は能力素のぶつけ合いである体育がある。それで遊ぶならまだいいんだけれども、なんか決闘形式なやり方である以上、照夜淸と繭がぶつかり合った際に大爆発するというのを防ぐ必要がある。

(「あんまり能力素が高い者同士が本気でぶつかるとー、地球がぶっ壊れるのでー、あまりやらない方がいいですよー」)

照夜淸と繭でも本気でぶつかったら日本はぶっ壊れそうな気がする。

ただ一つだけ、ふと思い出したことがある。諒が入院する前にバルマー脳波を起こす前に出した白い炎。あれを出すことができればもしかすれば爆発を防ぐことができるかもしれない。しかし・・・


「・・・。全然繰り出せないな・・・」

「諒ちゃんどうしたの?」

そういえば白い炎の現象があったのはまゆっちが死んだころであったな。

「う~ん。まゆっちって、"マイナス能力素"の使い方ってわかる?」

「ま、マイナス!?」

「うん、少し説明すると、マイナス能力素はエネルギーを吸収するといういわば逆次元の能力素なんだけど、もしまゆっちと照夜淸がぶつかったらこれで消し止めないといけないから・・・」

「う~ん、わからない」

「そっかぁー」

自分の炎の色が青色、赤色ではダメなんだ、白でなくては・・・。



何もできぬまま3時限目の体育が始まった。

「まずは美沙樹と私か・・・」

「諒ちゃん、頑張ってね」

「うん・・・」

あの白い炎を成功させられたら、とりあえず体育で当たる「照夜淸と繭」の試合は何とかなるのだが。

「では、決闘準備・・・よーい!」

先に美沙樹は10人に分身して剣戟を構える。

「全部貰う!」

諒はすかさず様々な色の炎を繰り出して分身を消していく。

「炎・・・、今回は珍しく淡白ね」

美沙樹は背後から剣で襲ってくる。

「甘い! ーー核攻撃・Austrloptks!ーー」

すかさず諒もAustrloptksを放って反撃する。

「・・・!、いつの間に習得していたの」

併し核攻撃は美沙樹には効果がない。美沙樹が錫製爆裂弾で核攻撃を回避しているうちに再び炎攻撃で反撃する。

「今回はやたらと炎にこだわるわね・・・」


「そこまで!」


結局諒は"白い炎"を繰り出すことができなかった。色の波長や能力の差ではないようである、では一体白い炎とは・・・。


「さーて、今回は俺と全力でぶつかれる時が来たみたいだな」

「ん・・・。」

照夜淸と繭の試合である。全力でぶつかれば爆発が起こりそうである。体育の先生は少し感心している素振りである。諒としては「いや、感心してるところではない。」

「さあ、これは大目玉となりそうですね、では、よーい!」

「ん。グラビティプレス」

最初に攻撃を仕掛けたのは繭であった。と同時にグラウンド全体がおわん型にへこみ、威力のすさまじさを物語っている。

「え、詠唱無しで・・・!?」

ねむは興味津々である。

併しこれは単純に本気ではない。詠唱すれば本気の攻撃をぶつけることができるが、詠唱したらどうなったかわかったものではない。

「はは、少しはやるじゃないかでは行くぞ!(こちらも詠唱無しで)雷切・重力斬!」


「どわぁああ! なんというぶつかり合い、これは楽しみです!」

隣の生徒らの近くにまででかい地面の割れ目ができた。

そういえば、詠唱があってもなくても能力素は使えたんだっけ?いや、確かそうではない。詠唱せずに攻撃できるのは脳内で詠唱する呪文ができてからだっけな。

そういえば自分がバルマー脳波になった時、自分は何を唱えたか覚えていない。白い炎は、もしかしたら無詠唱なのかもしれない。


「ん。Austrloptks」

繭も爆発を警戒してか、今回は4発しか飛ばさなかった。併し爆発自体大規模なもので、どこかのミサイル弾と変わらないような爆発の威力を示している。

「これは、諒さんも放った攻撃だ!しかし威力はとんでもない!」

と教師は暢気に解説しているも、そろそろここらあたりがビリビリしている気がする。生徒たちも、それはうすうす感じているようだ。

「このまま爆発してしまうかもしれん・・・」

「爆発?」

ねむが突然聞いてきた。

「いや、能力素が高すぎる者同士でぶつかり合いしすぎると、その地域で爆発が起こるのよ。それを止めなければいけないんだけれども・・・」

「だからさっきからこの当たりビリビリしてきているんだね」

それもそのはず、教師の解説もハウリングしまくりで全く聞こえない。

「止めなくてはならないな・・・」

諒は考えに考え抜いた結果、最後の力を振り絞ったという記憶だけで炎をおわん型になった底に配置することにした。

「これで無理だったら仕方ない」


・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

「さて、そろそろ本気を出すとするか」

照夜淸は本気を出しに全能力素を放とうとした瞬間


ズドーーーーーーーーーン!!!!!


「おわあっ!」

「な、なんだこの炎は!」

照夜淸と繭の間に爆発的に発生した炎は、真っ白く燃ゆる不気味な炎である。

「おーっと!?謎の炎がここで乱入してきた!?」

教師はまだ解説を続けている。

「ふん、こんな炎如き・・・ーー錬金術の主よ見よ!この業火で永遠までに食らいつくせ! 極業火!!ーー」


ドガーーーーーーーーーーーーーーン!!


「うわぁっ!?なにこれ?小さくなってるのに大爆発って何なのこれ!?」

繭もどうにか抑えようとしているようである。

「ん。Austrloptks」

6つの核の爆兵器をぶっぱなっていくが、白い炎に消されてしまった。白い炎はあまり変化がなく、燃え続けている。

「えぇ、ちょっとこれ、諒ちゃんがやったものなの!?」


「ノックス」

すると白い炎はあっという間に消えてしまった。

「な、これは一体・・・」

「いわゆる白い炎ね、まさかこんなやり方だとは思っていなかったけど、いわゆる"マイナス能力素"の一つね」

照夜淸は状況が分かっておらず、手を出したことに少々切れ気味であった。

「勝手に試合の邪魔をするな!」

「でも貴方達の試合を続けてたら、町全体ぶっ飛んでたわよ」

「確かに、さっきのビリビリした感覚はなくなったね」

解説していた教師のマイクのハウリングもなくなったのか、やっと声が聞こえるようになった。

「アーアーア、なんだかえらいことになりましたね・・・。おっと時間ですか。今日はここで授業を終わります」


マイナス能力素、今後も使いこなせなければと考える諒であった。

諒はマイナス能力素「白い炎」を習得した。次回からは"最後の力を振り絞る"という動作詠唱無しに使います。

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