神の焦りと飯匙倩の統一
「ダメだ、未来瑠からも小澪からも連絡がとれぬ・・・地球をぶっ飛ばすしか」
「よせ、それはダメだろ」と照清が宥める
カムラは焦りで正常な判断ができなくなりつつあった。
「併しこのままでは上や守にぼこぼこにされかねない」
カミはカムラの混乱を抑えるだけで精いっぱいである。
***
「やつらも取り込む相手がまずいですね・・・」
獷魋グループこと希美子は相手が未来瑠に迎合作戦をやり成功させた件で焦りを感じていた。
「これは上や守も操られるか否か・・・」
「やっぱり、照夜淸よりやばいやつがいるって話は、事実みたいだったね~」
悠を送った泉紳井戸李津華はある程度情報を送られてはいるが、飯匙倩が飲ませた神の監視薬を飲ませてからはやはり連絡が来ていない。
「上を舐めると、大変なことになるんだけど、大丈夫かな~?」
***
「現在、朱鷺谷小瑠璃と連絡がとれていない模様。また、相手の迎合作戦を盗んで未来瑠に使ったと」
「それは成功したんですか?多分失敗しているでしょうけど」
「相手の脱力化に成功したようです」
「・・・何ぃ?」
守の方も大変なことになっている。
つまり、現在神は"混乱の極み"の状況である。
一方、人間界では
***
「未来瑠を保護したとはいえ、こいつは敵じゃあないのか?」と銀次は言う。
「敵ではあるけど・・・、彼女は捨て駒だし、相手もそんなに考えてないのでは?」
未来瑠の対応には賛否が分かれた。ベルチャーやIタイパン、ブラックマンバ伯爵などは処分すべきだというし、諒や繭、ナミブやセグロは残しておきたいという対立である。
併し、どちらとしても未来瑠から情報をとることには間違いない。
「くそっ、六天王の中でも意見が分かれるとは・・・、これはイレギュラーすぎる状況だからな」とマンバは言う。
「確かにイレギュラーといえばイレギュラーですネー、でも彼女、起きても攻撃する感じがしないデス」とナミブは言う。
凛がこのままでは朝を迎えてしまうことも考え、ある提案をする。
「もう一回飯匙倩さんを召喚して、彼に決めさせてもらいますか?」
!?
場が緊張の空気に包まれた。
たしかに飯匙倩がいなくなってから戦略はぐちゃぐちゃだ。カミ、上、守の様子もわからない。この肉片には、それを出す"万能な演算子"があるというのか。併し・・・
「今戻っても、相手が攻めて来たらこの家は崩壊するわ」
「確かに、飯匙倩を召喚したところでこのイージスアショアなどで迎撃できるかは心配ですが・・・」
現在の迎撃システムが万能だとは限らない。何ならUCJDOの1話で出てきた椋路寺家の方が迎撃システムは強かった。それを直すとなると1日で何とかなる話ではないが。
「ふん、まずわての家を修復すれば、文句ないんだよな?」諒は修復の準備をしながら言う。
「寝なくて大丈夫ですか・・・?」
「そんなもん、余震で4日近く生き埋めにされてるんだわ・・・」
そういえば、余震によって3日後半まで生き埋めにされ、剋臂鼎を使って血を歠った結果がこれである。それが回りくどくいろいろなった結果、ほぼ不死身になっているという。
つまりは諒・繭はどちらをほぼ同時に殺さなければ「倒す」ことはできない 「 バケモノ 」に過ぎない。両方を「倒した」ところで「死ぬ」わけではないのである。
但し・・・
「貴方は不死身ですが、人間と同じ活動しかできないことは覚えておいた方がいいですよ」と凛が諒を窘める。
「・・・わかってるって」
「うーん・・・」
凛は止めたいところである。やはり、やるしかないか。
「今から飯匙倩さんを召喚しますよ」
「えっ?今!?」
突然の決定に諒はあせる。
「まだ防衛装備が出来てない、今飯匙倩を召喚するのはそちらの防衛装備で耐えるしか・・・」
「防衛装備はありますよ。ずばり諒、繭貴方です」
よく考えればぐうの音も出ない正論である。二人の攻撃は神を凌駕するに通ずる力がある。
まず合体するための触媒が用意され、六天王に配られる。その触媒を手に塗り、肉片に六人が手を合わせる。そして呪文を唱えた。
「――マジックオブステラ!――」
皆が触媒となって肉片から人が出来上がって行く。諒、繭、鞦韆一族も初めて見る。
「これが、飯匙倩の正体・・・」諒が呟く。
「こんなに早く呼ばれるとは思ってませんでしたよ」
「飯匙倩・・・」
「飯匙倩さんって、演算子の入った肉片だったんですか!?」
「まずは状況を教えてください」と飯匙倩は諭した。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・なるほどですね、今は迎合作戦で取り入れた未来瑠の処分を考えていると」
「でも相手もすぐ悟ってくるでしょ?」と諒がいう。
「悟るも何も、時慶を消したのをわかってますから、その時点で下界に降りた"カミ"は何をされるか知ってたんじゃないんですか?」
「それってつまり・・・」
「生かすも殺すも、彼らはどうなろうが"捨て駒"にするしかないんですよ。つまりはやることは一つ。諒さん、あなたの能力でしばらく存在を消して保存することです」
「とはいっても、イグシステンスを使われ存在が失われると、諒と繭以外認知できなくなるぜ?」照夜淸はあまり乗り気ではなかった。自分は知っていたい。そういう欲があるのだ。
「カミが一番恐れているのが"存在削除"なのですよ。それを幹部の子供に2人もされるのが一番恐ろしい状況でしょうに。なんで6人は思いつかなかったのか・・・」
<M「だってよぉ、殺すか生かすかしか普通考えないだろ・・・」>
<ナ「でも薬を飲ませたのに存在が消されたのがばれたのはなんでデスー?」>
<H「考えられることとして、神化で薬の効果が薄くなったからじゃないですかね?」>
「ほーう、イグシステンスが使える人間がまーだここにいるとは、それは聞いてなかったなぁ」と銀次は言う。
「しばらくカミは慎重になるでしょう。イグシステンスで隠しながら、諒さんと繭さん、ねむさんはあなた方の防衛装置を直していただきたい」
「わかったよ。とりあえず、諒となっち、行こう」とねむは言った。
諒と繭、ねむは飯匙倩邸を後にした。




