神の精神干渉1
・・・・・・。
時慶、未来瑠の連絡が一切来なくなったカミの部隊はかなり焦りを感じていた。
「もしかして、あの二人も、やられたのか・・・」
「カムラ殿、これはどういった状況でしょうか?」
カムラは焦りながらも答えた。
「これは二人が束縛されたか、あるいは、死んだか?」
「死んだはないでしょう。なんせ特徴としては我々はアヴェンジアンデッドのようなものですから」
「いや・・・、恐らくだが奴らはアヴェンジアンデッドを殺せる手配を整えているはずだ。なぜなら中国、フィリピンあたりは焦土と化している。そこの死体を利用してアヴェンジ化計画をすることが下界では行われている。それを知らないはずはなかろう」
確かに現在、中国、フィリピン付近ではテティス部隊がアヴェンジアンデッドを大量に復活させることを計画している。
「まさか、カムラ殿・・・下界の人間に攻撃を仕掛けるつもりですか!?」
「せめてもの奴への対策をすればよい・・・、ほう、過去にそんなことがあったのだな、ではその過去を利用させてもらおうか・・・」
まずい。干渉がばれてしまっては上、守から袋叩きに遭い、そのバケモノたちも来るとなると最悪カミは壊滅する。
「やめろ、それが何をするかわかっているのか!?」
「海鷂魚照清よ、そのときは・・・、お前が指揮を執ってくれたまえ」
「つまりカムラ殿は死ぬ気で・・・」
・・・
・・・・・・
「なんか嫌な予感がするよ」
未来瑠はカミの動きに関して警戒をしていた。未来瑠と照清は精神が同じ部分になる点が存在する。
「そうかい?俺には何が起こるかわからないんだが?」
「それが気のせいであればいいと思うのだが」
「おい!早く高校に行くぞ!」
照夜淸は怒鳴りつつも二人を連れて行った。
「ちょ、ちょっとまって!」
悠も続いて、そして小瑠璃もその後に続いた。
キーンコーンカーンコーン
「今日は転校生がいます。一人は別のクラスですが未来瑠も今後からは他のクラスとはいえきちんと挨拶しましょう」
「まずは時慶から」
「吾輩は時慶と申します。運命を使えますが、それがほかにもいると聞きました」
ざわざわざわざわ・・・
教室は不穏な状況を隠せない。
「・・・(いきなりそんなことを言われても)」
繭は黙ったまま時慶を睨んでいた。
「それでは悠さん、自己紹介お願いします」
クラスの状況そっちのけで次の子に移った。
「はい、私はケミカルリアクション、今日転入したねむさんと一緒ですが、よろしくお願いします」
そういえば鞦韆一族はわからないが、少なくとも諒と繭は彼女の能力は知らなかった。ケミカルリアクションか、結構役には立っている。
併し上級能力素ともあってか、結構扱いは慎重にならなくてはならない。
「次にねむさん、自己紹介お願いします」
「僕はねむっていうんだ。よろしく・・・能力はさっき悠さんも言ったケミリアです、よろしく」
ねむがいつの間にか「僕っ子」になっているのは初めて気づいたが、これは前からだっけな・・・、自称のことなんてどうでもいいんだが。
「次に小瑠璃さん、自己紹介お願いします」
「私は朱鷺谷小百合、能力は索敵攻撃よ。よろしくね」
「・・・(なるほど、初めて会った時索敵されたのかこれが原因だったのか)」
・・・
・・・・・・
一方天界の方ではいまだに彼らの状況を掴めておらず、あわてている最中である。
「小瑠璃は、小瑠璃はどこへ行った?」
「索敵も無効化されています!」
往々にして人間界の行為に慌てているカミや守は、今回も振り回されている。
実は彼らにはある仕掛けがなされていたのである。
・・・
・・・・・・
――数日前
「これを飲むんですか?」
悠たちは心配そうに小さな錠剤を見ている。
「しばらく君たちには天界と縁を切らなければならない。そのためにこれを飲んでもらう」
「これ飲んで死んだらアヴェンジアンデッドになって殺してやるからな!」
「死にはしないさ。少し諒の力は借りてはいますが、毒ではないでしょう」
彼、彼女らは天界からの存在を視認できなくする薬を飲まされていたのである。




