神を監視?
諒と繭、ねむは椋路寺邸に帰ろうとしていた。
「ん?索敵--何か来る」
「・・・ん?」
諒も索敵されていることに気づいた。
「索敵能力素、だれか、誰か家にいるな・・・?」
「守じゃない?」 繭はその可能性を考えて言った。
「いや、守以外にもこの家を物色したいって輩は多いからな。飯匙倩の能力を使うぞ、絶!」
椋路寺邸と庭あたりが四角い箱に囲まれたようになった。
「この箱の内部の身に攻撃を適応させる・・・さあ部外者よ、出てくるなら今すぐだぞ・・・?」
朱鷺谷小瑠璃も相手がまだ諒、繭、ねむと判断できたわけではない。判断できない以上は向こうの要求も飲めないのである。
・・・しばらく沈黙が流れる・・・
「仕方ない、行くぞ!」
そう言うと、諒は立方体を手にもって出した。
「え、あれやるの!?」
繭をかつて死に至りしめた"絶対凍結"である。繭は依然としてこの技はトラウマである。
「仕方ない、--絶対凍結!!--」
ゴゴゴという音と共にいろんなものが割れて潰れていく。
「わわわ、なんだこれ!?足が重くて動けない!」
小瑠璃は発生した重力場によって足が動かなくなった。とにかくこの状態を打破するため、再び索敵を行った。
「--索敵・・・敵が近くに・・・あっ」
ねむが一番先に小瑠璃を発見した。
「あらあら、僕に見つかるなんて、まだよかった方じゃない?」
「どういう意味なの!」
「僕は如月ねむ、この家邸では雑魚の雑魚・・・まだ会話で済むかも知れないよ?」
ねむの能力素は980T[J]と神に関わってる中では最も低いステータスである。
「お前がこの家の主か?」
小瑠璃はわかり切ってるとは考えつつ、会話で何とかしようと模索する。
「そんなわけないじゃん僕が。もうそろそろ、主が来るから」
「ぐっ・・・」
少し地面にめり込んで動けなくなった。どうやら地面が接着剤のようになっている
暫くすると諒と繭が現れた。
「貴様は何者だ!」
「ぐっ、君たちこそ何者なの!」
「わてはこの家の主の椋路寺諒だ、そして相棒の繭っち――」
そういうと小瑠璃は肩の力を抜いて話した。
「ふん、あたしは貴方達に用があって来た朱鷺谷小瑠璃よ。こんな歓迎されるとは思ってもいなかったわ」
「まあそれは、コソ泥みたいでよろしくないからねぇ・・・最悪、ぶっ飛ばすところだったからね」
とりあえず小瑠璃を地面から離した。
「まったく、ひどい対応を受けたわ」
「それは失敬したな。でも勝手に入られても困るってものよ」
「まあ防御装置は今壊れてるから直せば勝手に入れなくなるんだけどね・・・」
とりあえず潰れた家具などを元に戻し、テーブルについた。
「とりあえず、今回は何をしに来たの?」と諒が小瑠璃に訊いた。
「そうね・・・、
ーーカムラを叩き潰して神の面目を潰してほしいーー
・・・わけよ」
三人は凍結した。
「ち、鳥渡、何黙っちゃってるの!?」
「えーっと、つまりは僕たちがカミのボスを潰すってわけ?」
ねむだけでは勝てないとはいえ、諒と繭がいると余裕で勝てそうではある。
「そうよ、死なすレベルではなく、叩き潰してほしいのよ!わてら守もある程度加勢するから!」
諒と繭はあんまり乗り気ではなかった。
「どうするまゆっち?」
「とりあえず飯匙倩さんの意見を聞きましょう?まだ悠とか未来瑠とかはいるみたいだし」
「う~んそうだな。聞くしかないわ。わてらだけでは決められない話だわ」
そういうとねむは小瑠璃を持ち上げて飯匙倩邸に行くことにした。
「ちょっと!守をぞんざいに扱うんじゃないわよ!ちょっと、聞いてるの!?」
・・・
・・・・・・
「絶、・・・そんなことを言っているのか!?」
「未来瑠!時慶!今からぼこぼこにしてやるから外に出なさいよ!」
「まてまて、守の方では一体何が起こっている?」
悠はおびえ竦んでいる。
「守は今他の神を抑えられるほどの力がないのよ!だから誰か代わりに倒してほしいのよ!」
「そうですか・・・」
飯匙倩は怪訝そうな顔をする。
「え?ついにカミをぶっころ!するん?」
照夜淸はワクワクしているが、照夜淸は現に一人のカミを倒してはいるが、そのカミは最弱である。
「カムラがどれぐらい強いかわかって言ってるの?あいつは運命を操るのよ?その運命に対抗することできるの?」
「でもそのトンデモという能力を持ってる――つーか、さらに極悪にしたような能力持ちはいるんだよなぁ」
「はぁ?」
飯匙倩はガベルをたたいて場を黙らせた。
「とりあえず、今は神を監視させていただきます。抹殺となると未来瑠も時慶も黙ってないでしょう?」
時慶は怒って言った。
「当然、そのときは仕返しするぞ!」
「まあそのときは私が黙らせますねぇ~」
繭が不気味な笑みを浮かべて言った。
「ぐぬぬ・・・お前、いったい何者なんだ?万が一カムラより強かったらこっちも全勢力で黙らせるぞ!」
「不死者でも絶死を使えば貴方も使い物にならなくなりますよ」
「けっ!」
悠がおびえながらも言った。
「でも、私たちは穏健に過ごしたいです。だからカムラを倒しても何も変わらないです」
「まあその通りなんだが、わかってないやつがほとんどなんだよ」
飯匙倩は呆れながらも言った。
「ということでしばらく私含め鞦韆一族、椋路寺一家たちで神らを監視させていただきますよ」
悠、小瑠璃、未来瑠、時慶は固唾をのんだ。
「というのも来週からこちらも学校や仕事なのでね、それを脅かすのであれば考えものですよ」
飯匙倩は再びガベルをたたいて絶を解除した。
ガベルとは海外の裁判においてよくたたかれる木でできたあのハンマーのことですが、日本では国会にて使用されます。




