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閉明塞聡  作者: 大和八木
アンチ諒軍団との戦争
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2人の繭と核防衛

暫く鞦韆一族との闘いは止まるだろう。もしかしたら戦争は終わった、という日が来るかもしれないな。


今日は裏庭でのんびりしていた。こういう生活は久しぶりなものだ。

そのとき突然繭が話しかけてきた。

「ねえねえ、見て見て~」

「どうした?」

そういえば繭は片方は紫目だが今回は黒い。死んだときの繭を髣髴とさせる。

「目が、黒色なんだが・・・?」

「ああ、それはね・・・」

なんと黒色の繭を本来の繭が蘇生したらしい。って・・・

「どうやって蘇生した!?もしかして禁忌の書庫を・・・!?」

「うん。諒ちゃんの技のイグシステンスを使ってね」

そうか。今はお互いの技が使えるってことか。ということは自分も・・・?

「ということはわても"Austrloptks"が使えるってこと?」

「多分そうだね・・・」

ということはだな、繭にも核攻撃の防衛策訓練ができるようになったということである。自分自身核攻撃というのは持ち合わせておらず、多分Austrloptksが初だろう。

「んでね、話をつづけるけど・・・」

繭は左目を紫色にした。左目が変化するのは初かもしれない。厄介だな、覚えるのが・・・。

「これで"にんげん"と同じ状態になるんだって。黒色の目は不死者の状態になるんだ」

黒目は確かに死んだときの顔でしか見たことがない。そう、不死者だったのか。甲南病院でちょっとばかし争った際はそこまで見ていなかった。


「そうだな・・・」

「ん?」


 "今から核防衛特訓をやるぞ!"


「ええ!?そんないきなり!?」

「わてもAustrloptksの核種が知りたいからな。まずはこの技をある物質のシンチレーターで測定する」

「よくわからないんだけど・・・」

「要するに放射線といってもどの物質が飛んでいるのかわからないからな」

確かに放射線によってはSi、NaI(Tl)、ZnS(Ag)などのシンチレーターがあるんだが、それで測定するのはα線、β線、γ線、中性子などさまざまである。

「それを測定して何になるの?」

「防御策が変わってくるから、まあホウ素などをぶちまければ大体何とかはなるんだが、もっと確実な方法がある」




「・・・へえ、そんな対策があるんだね」

「α線は紙でも防げるが非常に強力だ。繭っちのAustrloptksはこれに該当した。次に私のAustrloptksだが・・・、本当に撃てるのか?」

「やってみるしかないよ」 繭は後押しした。

「・・・とりあえず、詠唱してみよう

-敵を核の炎で焼き尽くせ!-

    "Austrloptks!!!"

バシュバシュバシューンと4つの玉が飛んでいった。

「おお、すごいすごーい!」 と繭は拍手している。

「い、意外と能力素持っていかれるんだな、これ」

かなり疲労することに諒は驚きを隠せない。シンチレーターはβ線の核種を示していた。

「べ、β線!?」 諒は繭と異なることに驚いた。

「人によって異なるのかな・・・?」

「あとはγ線、これは美沙樹が使ってくる核種。あとガンマ線バーストもこれに当たるけれども。これは鉛を使って防ぐしかないね」

「うん・・・」

「じゃあ、核防衛特訓、やるよ!」

諒は繭に構えた。

「無理しないでね諒ちゃん」

「繭っちこそ、教えてないからな」


構えて構えて・・・始めた。


「いくで!」

諒はイグシステンスで繭の上を取り、詠唱した。

「Austrloptks!」

「いきなり上!?」

繭は直線上に飛んできた球を咄嗟によける。

「避けるだけではまだまだやで! 追尾のAustrloptks!」

諒は繭の前に現れ、光の玉を放った。

「うう、確かに逃げられないよ・・・!」

繭も諒の能力であるイグシステンスが使えるが、どうやらそれは効果がないようだ。

「わての能力使ってもあんまりなぁ・・・」

繭は体をホウ素でつつみ、アルミ板でガードした。

「次は変形型だ、何線か見極めるんだな。混線のAustrloptks!」

「・・・! α線!えっと、とりあえず鉄板で!」

繭は何とかはじくことに成功した。

「じゃあ応用のアウストラ・・・」

バタッ

諒はあまりの疲労に倒れてしまった。繭は諒に駆け寄る。

「諒ちゃん!無茶しないでよ!」

「す、すまない。ここまでエネルギーを使うとは ハア、ハア・・・今日はここまでだな」

「・・・うん」

諒と繭は家に戻った。



その深夜


ゴソゴソ、ゴソゴソ

「・・・ん?」

諒は誰かの足音か物音で目が覚めた。

「だ、誰だ?いったい何をしている?」

諒は物音のするところに向かっていく。


誰かがランタンを持って徘徊しているようだ。

「誰だ!」

「わあ! 私だよ!」

徘徊していたのは繭だった。

「なんだ、驚かせやがって。あんまり無理はするなよ?」

「いや、"人間"のまゆさんには寝てもらってますから」

よく見ると左目の色が黒色だった。そういえば一つ気になったことがあった。「人間」の繭?

「そういえば人間って、アヴェンジアンデッドじゃなかったのか?」

「うん。コビディンの話もあったけど、ブラックマンバの指輪の破壊とその血を啜ることを"回帰"というらしい、あれをすると人間になるみたい」

「でも今はアヴェンジアンデッドじゃない?なんか二つ存在するのはおかしくないか?」

「それは・・・、飯匙倩とやってることが同じ」繭はひっそりとした声で言った。

「・・・!?そんな能力なんてあるのか」

「一応諒ちゃんにもできるみたいだけど、まずは誰かの魂を一つ入れないといけないみたい」

「でも魂ってどうやって入れるんだ?まゆっちはそもそも魂なんか入れてないでしょ?」

「えーっとそれは・・・」

繭は少しトラウマを思い出したかのように言葉が詰まっていた。

「い、いや、無理しなくても」

「解離性同一性障害。もともと多重人格だったのね」

「・・・・。」今度は諒が言葉に詰まってしまった。

「まあ、あんまり夜中起きてるのもよろしくないから、寝た方がいいよ」

「あ、ああ・・・」

諒は寝室に戻ることにした。


「多重人格、二つの魂か・・・う~ん・・・」

諒はこの晩結局寝ることはできなかった。

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