指輪の中身
「なんですか!急患ですか!?」
デジィアティーと諒の仲間の人が迎えに来てくれた。
「諒ちゃんがぶ、ブラックマンバに撃たれました!」
「なんですって!?あの飯匙倩のツレも役に立たな・・・」
「撃たれたのは指だけですけど・・・」
「早く言え!」
デジィアティーとその仲間は慎重に指の検査をした。
繭は襲撃に備えて外で待つことになった。
10分が経過した。
ちょっと話があるんでいいですか?どうぞ。
繭は中に誘われた。話とは一体何だろうか。
諒の仲間の医者は言った。
「繭さんはなぜ今不死者として生きているんですか?」
「え・・・それはアヴェンジアンデッドなので当然じゃないんですか・・・?」
「う~ん、少し話をしよう」
あの指輪は本来アヴェンジアンデッドの生命線でもある血液の一つであり、あれが失われるとアヴェンジアンデッドは死に至るらしい。
あの指輪が壊されたときに対処する方法は2つあって、一つはあの指輪をすぐに直すこと。そしてもう一つはその指輪の血をアヴェンジアンデッドが飲むことである。
「つまり私は飲んだから生きているんですね・・・」
「飲んだのか、しかし飲んだ場合は少し厄介なことになるんだ」
「え?」
「宿主は死ぬ」
・・・・・・・・・!!!!!!
そ、それって諒ちゃんはもう死ぬってことだよね、だからヴォルクスは諒ちゃんの弟を取り込んだんだ・・・
「う、ぅう・・・・ごぉええええ!」
繭は何ともならない真っ黒なものを吐き出した。デジィアティーと諒の医者は少し慌てたようだった。
「な、何が起こってるんだ?血を吐くならまだしもこれは」
「飯匙倩やほかの人に聞く時間がない。仕方ない、対症療法だ」
繭をベッドに寝かせ、血液を補充する処置を行った。
「う~ん」
「繭が目を覚ましたようね」
先に目が覚めたのは諒の方だった。これには諒の医者は吃驚した。
「な、何が起こっているかさっぱりわからない。何現象なんだ?」
「あたいが起きたというのに失礼ねこの馬鹿医者。ほら、もうじき飯匙倩さんが来るわよ」
コツコツコツ・・・
革靴の音が聞こえてくる。ヴォルクスは処分できたようだ。
「一体どういうことをしたんです?」
デジィアティー氏が事のあらましを飯匙倩に説明した。
「ん~、なるほど・・・」
飯匙倩は諒に関していくつか質問を始めた。
「いくつか質問をしていいですか?」
「はい・・・」
「まず互いの血を「何の器で飲んだ」のですか?」
「えーっと、『コピディン』とかいうやつだっけ?」
「そのあと不死者の盟約を解除しましたか?」
「えーっと、それはブラックマンバが指輪を撃ってきまして・・・」
「ふむ・・・マンバのやつ、引導を渡したか・・・」
飯匙倩が少し考えたあと、あとで家に来るように言われた。
何かしたのだろうか・・・?
「う、う~ん」
繭が目を覚ました。繭は少し肌がアヴェンジアンデッドの時よりピンク身を帯びていた。
「ぬ、・・・うん、やはり・・・」
飯匙倩は何か察したようだ。
「この古い本によるとだな、『-ディン』といういくつかの呪物がある。『コピディン』は「剋臂鼎」と書くのだが、これは互いの協力を誓うもの・・・効果はよくわかっていないが『カイロディン』に近いのかもな」
「それってどういう」
「もう繭は死体じゃないし、もうそういう関係どころじゃない」
「え?」
死体じゃないということはどういうことなのかよくわからなかった。
「死体じゃないってどういうことなんです?」
「人間になったんだよ。ただ、変な意味で。アヴェンジアンデッドの能力を引き継いだ状態で『血盟』をやってくれたから困ったものだ (まあ関係ないんだけどな)」
「大禁忌『血盟』の中でも『コビディン』、『カイロディン』は結婚を意味するようなものだ。同性で結婚したというか、困ったことをしてくれたものだ。ブラックマンバも」
<M「なんで怒られなきゃならんのだ、その方が面白いだろ?」>
<H「繊細なことなので面白いで済む話じゃないんですよ」>
「ってか"大禁忌"なの!?」
「いろんなことに関わるんですよこれ・・・」
飯匙倩はため息をついた後に続けた。
「これからどうするんです?」
「・・・まゆっち、入籍しちゃう?」
「・・・はい・・・!?」
全く考えが追い付かなかった。ただ、地震のときやったこととブラックマンバが「面白み」でやったことはとんでもないことになったようだ。
「でも同性で結婚だなんて・・・」
「初めてまゆっちと抱きしめた私の気持ち知ってるくせに」
繭は顔を赤らめた。
もう一つ気になったことがある。「アヴェンジアンデッドの能力を引き継いだ」のなら不死身ってことなのか?
諒は飯匙倩に聞いた。
「一つ質問があるのだが」
「なんだ?」
「あたしと繭は"不死身"になったのですか?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
飯匙倩は少し困った顔をした後にこういった。
「お前たちの力でこの全棚から探してこーい」
というと、全棚から二人めがけてメスやら注射針が飛んできた。
「おいまって死ぬ死ぬ!」
ガタガタガタガタガタガタgt・・・・
「あのー、私も串刺しなんですけど!」
「凛、いたのか。すまない」
「普通の人は死んじゃいますよ?」
「うるさい!なにするのよ!」
諒が針の山の中から出てきた。
「ひどいことしてくれますね・・・」
繭も本の山から出てきた。
「これが結果だ」




