バスの中の案件
「さて、今日は記念旅行としてこのバスに乗っていきますよ~」
ワーワーワーワー
いろいろな人が楽しみにしていた記念旅行であるが、諒がいない。
「あれ、諒ちゃんはいつになったら来るんですか?」繭が言った。
「今日は体調が悪くて休みを取っています」
・・・実はいつもの紅茶の中には「サイレース」が含まれていた。
ーーーサイレースーーー
現在ではよほど強い不眠症がない限り処方されることのない強力な睡眠薬である。その効果は飲んだ夜から翌日の昼から夕方までかかることがある。
有名な話、市川猿之助が大量のこの薬 (とレンドルミン) で自殺幇助の罪を負ったり、歌舞伎町女子がODと称して荒れ狂う原因の一員を背負っている。薬自体は悪いわけではないが・・・。
「・・・・・・。(諒ちゃんに何かあったんだ、でも、何があったんだ・・・能力を使っても眠そうな感じしか伝わってこない)」
「繭さん、早くバスに乗るわよ」
「あ、はい・・・」
言われるがままに乗っていった。鞦韆一族らも不穏な気配は察していないようだ。
しばらくバスが進んでいるうちに優希が眠気を感じ始めた。
「なんかみんな寝てるけど私たちも眠くない?」
「多分睡眠ガスか、誰かが能力を使っている?」
「能力、察知不可」
バタッ
鞦韆一族らは眠ってしまった。
というのもこれは能力素ではなく亜酸化窒素がバスにばらまかれたのが原因である。亜酸化窒素は笑気ガスとも呼ばれ、麻酔効果があるが、あくまでここでは「催眠ガス」という扱いで使っていく。
「うう、眠い・・・」
繭はいまだに「アヴェンジアンデッド」という不死者であるからそのガスに効果はない。しかし、酸素濃度が低くなると眠くなることはどうも不死者と人間とは変わらないようである。
「いつまで起きている・・・?」
「・・・!」
繭は背後からの謎の人物に頭をハンマーで殴られ気を失ってしまった。




