作者のアカシックレコード
伊吹の脈窠洞窟から抜け出し、飯匙倩の家までマッハで移動し、何とか彼の家までついた。(諒と繭は亜空間転送というインチキを使って帰って行ったが)
「ふむ・・・そうか、これがいわゆる"みんなで殺し合いをする未来"・・・か」
「それを阻止する方法はないのか!?」
照夜淸が叫ぶ。
「いまのところ、どうやっても執行されるのは間違いない。それは、「{作者}のアカシックレコード」に記録されていることだから・・・」
「アカシックレコードって何でも記録されている媒体よね?繭の力で変更はできないの?」
諒がたずねた。
「その「作者のアカシックレコード」だけは誰にも変更できないの・・・」
繭は残念そうに言う。
「基地までぶっ飛ばすわ、ガンマ線バーストで名古屋付近まで核に汚染させるわ、それも「作者のアカシックレコード」にあった話なのか?」
照夜淸が乱暴そうに聞く。
「お、おちつけ。いま、こうやって「作者のアカシックレコード」の一部がわかっただけでも我々でどうにかなる」
しかし繭はすぐに反論した。
「どうにもならないよ。これはもう、決まっていることだから・・」
「でも繭なら「作者のアカシックレコード」にアクセスできるじゃないか。全部を見ることだってできる、よね!?」
照夜淸が心配そうなトーンに落ちた。
「すべてを見ることはできないよ。「作者のアカシックレコード」は何重にも描かれていて、そのうちどの道を進むかはわからないから・・・」
「う~む・・・、どうにかしてその道でいい方面へ向かうことを祈るしかないか・・・」飯匙倩が重い面持ちで言う。
「そう・・・」
周りは重い空気になった。殺戮しあうのは「作者の都合」であること、その後も「作者の都合」である。それを一番知っているのが繭の能力である「Destiny」である。
Destiny・・・第五能力素のExランクに位置する。全ての能力素でもトップクラスで強力である。唯一の"作者に干渉する"能力の一つ。今回、繭がこの運命を回避できないというのは、"作者が殺戮をやらせたい"という思考で話を進めているからである。ただ、運命であっても作者への干渉は一部だと言われている。
「で、作者はどう殺し合いにするのだ?」
「問題はそこから先がわからない・・・」
だーっ、といいたくなるような照夜淸らの空気である。
「とりあえず、どうにかして殺し合いをおさえるかが問題だな・・・候補はー」
「それは私たちの話でしょ?」
諒が言った。今回の「殺し合い」を行うのは諒のアンチグループである。そのことはここまで来たことで決まったことである。
「確かに・・・」
「諒ちゃん、どうしたら、どうしたらいいの?」
「まず繭はどういう風になるかを警戒ね、後はあんまり「作者」を怒らせないことね」
「ううぅ・・・」
一方、諒のアンチグループでは・・・
「何?脈窠洞窟が放射能まみれ!?しかも計画書を取られた?何をやっているんだ!?」
「まだ繭はぐれて居るのか・・・?」
「・・・殺し合いの名簿に入れるか」
「で、今後はどうするんだ?」
「まずは繭と諒を隔離し、その後にバトルロワイヤルの要領で・・・」
・・・・・
・・・・
・・・
「計画は決まった。あとは時期をどうするか」
「そうだな、とりあえず脈窠洞窟が回復してから修学旅行目的で連れていくべきか・・・」
彼らも計画を練っていた。ただ、神の伏線には気づかずに・・・。




