如月ねむ
高校の帰り、自宅が炎上していた。周りの部隊が消火活動に当たっていた。
「何が起きた?いつもの敵襲か?」
「敵襲と火事場泥棒がいたようです・・・、敵に関しては拿捕しましたが火事場泥棒は・・・少し奇妙な話ですが盗んだものもわからないのです」
「なにぃ?」
諒と繭は急いで自分の部屋に行き、盗まれたものはないか探してみた。
・・・荒らされている。火事場泥棒の目的はここか。
「これはだいぶやられとるな、片付けが大変だぞ」
諒は地面に落ちた書類などをあらかた数えながら机の上にしまった。
「あたいのは特に・・・スパコンや極秘資料も盗まれてはないわね」
「何を盗んだんだろ・・・?」繭は不思議そうに考えていた。
「これはなんか目的だったものがなかったってことかな?」
「あ、あああぁ、ああああああああ!」繭が悲鳴を上げた。
「どうした?」
「如月ねむの遺骨がない!」
「え、ここらあたりはまゆっちのクローンのDNAが並べてある場所か、しかしなぜねむの遺骨なんか盗んだのか・・・犯人は・・・」
一方、盗んだのが繭のクローンではなく如月ねむの遺骨であることも知らない
"鞦韆三人組"、このDNA、ではなく遺骨に呪文をかけるようだ。
「非不死者性還魂術?そんなもんがあったのか・・・」
「しかしここまで来るの大変でしょ?なんかあったときの隠れ家ね。伊吹の脈窠洞窟といって大量のエネルギーが結晶体となっているのよ。」
「つまりどういうことだ?」飯匙倩が尋ねる。
「"非不死者性還魂術"は本来何らかの力を得ないと使えない技だけど、今ここでやれば使えるってわけ」
「繭を増やすってことですか」飯匙倩は尋ねる。
「増やすより仲間に置いておきたいわね、『フーチャンゴングョウ』の養分としてもね」
「お、お前らそれはやりすぎだぞ!」飯匙倩は制止しようとする。
「大丈夫、諒らに喧嘩はしないわ。火事場泥棒した場所はこのDNAのほかにもう一か所ある」
「なんだ?」飯匙倩がきいた。
照夜淸がファイルを渡した。
「これは、高偏差値帯におけるアヴェンジアンデッド計画・・・!?」
「おそらく繭が考えてる最悪の事態はこれの話ね。まあ、このファイルを持ってたバカがのこのこ諒の家を特攻してたもの。愚かよね。俺に盗まれるなんてね!」
「さて、そろそろ"非不死者性還魂術"をやるわよ!
夜空に眠るあまたの星々よ、ここに眠り閉ざされる彼の魂に祝福と光を。 "オーゼフゲーヴェン"
」
ゴゴゴゴゴゴと地鳴りがし、その繭のDNAが入っている箱が光り出した。
「ははは、成功ね。これで繭がもう一人・・・・って」
しかし現れたのは緑のストレート髪に青い目をした少女である。
二人「お前誰!!!!!!!!!!!!!!」
美沙樹や優希は焦っていた。
「ちょっと、変なもん盗んだんじゃないの?」
「復活が失敗したんじゃないですか?」飯匙倩は少し笑いながら見ていた。
「・・・ん、でもあいつは・・・」
「お前ら!なっちはどこだ!なっちを殺したんじゃないだろうな!?」
「おおお落ち着け、ここは伊吹の脈窠洞窟、放射能で炎上したようなところじゃない」
「ふざけるな、ここでお前をミンチに・・・」
「如月ねむ、少し黙りなさい」飯匙倩がファイルを亜空間ポケットに入れて前に出た。
「お前は飯匙倩!なんであの時私を助けなかった!」ねむは興奮状態である。
「処刑台にされるのは繭だという連絡しかなかったのですよ。だからこちらで繭は保護した、ただ保護されなかったあなたが処刑台に立たされて目も当てられないような状態にされたと聞いた」
「まあいい、ここに繭はいないってことだな、じゃあ3人は死ね!」
ねむは巨大な竜巻を出して攻撃を始めた。
「復活させたやつはその人の言うことを聞くのでは?」と飯匙倩が暢気に訊いた。
「"非不死者性還魂術"はその限りでない・・・! こちらも竜巻返し!」
竜巻は相殺されて消えた。しかしあたりはかなり散らかっている。
「散らかってるやつを硫酸に変えて・・・アシッドウインド!」
優希は余裕の立ち回りで防御する。
「おい飯匙倩さんよ、ねむって何の能力を使ってくるんだ?」照夜淸が訊く。
「"ケミカルリアクション"ですね、というより元神威市では2,3番目に強かった気がしますが」
「元神威市だと・・・」ねむは攻撃をとめた。
「神威市は繭を限界まで怒らせた結果地図から消えちゃったんだよねー。だってさ、あの技卑怯じゃん?核攻撃なんざ普通の人は耐えられないでしょうに」
「か、核攻撃・・・!?」ねむは驚いたようであった。
「まあ許可が出たら撃ってくるわよ、諒閣下の許可が出たらね。でも瀕死だったから撃ちまくったどころかガンマ線バーストまで撃つ始末よ」
しばらく沈黙が流れた。
「ここか?」
「うん多分」
外から声が聞こえた。
「何者だ?」
「
Austrloptks
」
「ひぇ」 照夜淸は軽い悲鳴を上げた。
ドゴゴゴゴゴーン
小屋が木っ端みじんになってしまった。
「げほげほ・・・繭、あんた俺がいること知って撃っただろ」
「あれ・・・?照夜淸が盗んだの?」
「あれ?じゃねーよ!!!」
「ん、あれは、ねむちー?」
「この声は、なっち?」
二人はお互いを認識した後再開したように抱き着いた。
「会いたかったよなっちー!」
「久しぶりだねねむちー!」
「まさか盗んだのが如月ねむの遺骨だなんてね、変な復活方法でやったんでしょ。可哀想だが、お別れね。還魂返し!」
ドーン
「何してくれるの!」
「・・・効いてない、というか何のやり方したの照夜淸」
「新しい復活実験しただけだ、えらい目にあったぞ」
「そもそもまゆっちを実験台にするな」ボコ
「すまんすまん・・・」
「この人は誰?」ねむが諒をさして聞いた。
「まあ、命というか、人生の恩人・・・」繭は言った。
「敵ではないんだね、よかったー」ねむは言った。
「貴方が代わりに犠牲になったっていう如月ねむね?」諒は聞いた。
「うん、如月ねむ、って言うんだ。よろしくね」どうやら諒には好意的だ。
「ああ、諒閣下、これを」
飯匙倩は先ほどのファイルを見せた。
「・・・やはりか、とんでもないことを考えるわね」
諒は悩み込んだ。
「しかしそれぐらいの莫大なエネルギーどこで集めるのかしら?この伊吹の脈窠洞窟みたいなところがばれなければいいが」
「多分知っているのでは?」
「とりあえず、あなたたち、飯匙倩の家に帰って作戦会議を立てるわよ」
みんなは結晶をよけつつ洞窟の外に出て飯匙倩の家に向かった。
「なに?あのファイルが盗まれただと?」
「申し訳ございません、どこにも見つからなくて・・・」
「なにによりてか・・・・」
対諒軍団戦線も作戦会議に入っていた。
如月ねむが仲間になりました。
※画像注釈:脈窠 (すかり)とは水晶などの結晶によってできた洞窟のことをいう。




