UCJDO( Underground Cabinrt Japan Defence-Force Organization) エピローグ
「終わった、んだね」
「そうだな、幸い誰も死ななかった、奇跡レベルじゃないか」
いじめっ子の人たちは泣きながら謝り続けていた。
「はぁ、いじめが原因でここまでの事態になるなんて、珍し」
「まあ、いじめの一番最後が戦争だと言われていますからね」
「えっ?」
ベルチャーの発言には戸惑いを隠せなかった。いじめの最後が戦争、今回はプチ戦争みたいなものだけどそういう解釈でいいのだろうか。
しかし鞦韆一族がまとめて消されるような実力者がいるとは思いもしなかった。4災で噂のヴォルクスやトワイライト三姉妹も倒せるのだろうか。
「さて、家に帰りますか、あと放射線浴びてると思うからそこの6人も来て」
「はいぃ・・・」
一方椋路寺家
「え、鞦韆一族は放って帰って来たの?龍は?龍はどうした」
「龍は残念ながら殺されたよ。まゆっちもだいぶトラウマな状態になってるから見ないほうが・・・」
「うげぇ!」
繭の体に空いたどす黒い肉体を見た召使はその場で吐いてしまった。
「あーあ、でもこれ治療したほうがいいよな・・・、あと清掃誰に任せようか」
「えーっと・・・どうすればいいの」
繭は何をすればいいかわからない状況である。しかしこんなグロの肉塊を見せてもゲロ吐きもらいゲロの繰り返しだろう。
「とりあえず傷口隠すためにいろいろ着てくれ。ヒール魔法を施しておく」
「う、うん・・・」
「とりあえず、除染はこれでいいかな」
飯匙倩の家では除染作業やその他いろいろなことを行った。
「しかしこの町はしばらく住めなくなるかもしれませんな。あれだけ放射能にやられてますからね。避難区域待っただ無しです」
「そういえば6人ともこの後はどうするの?」
・・・
うつむいた状態で何もしゃべれそうにない。こんな大問題を最終的には起こしてしまったから、責任も取れない。
「彼女よりいじめをした6人の方が大事といった私は、辞任するしかないと思っています」
「あの発言、私の発表した法則で大炎上しましたから、仕方ないのかもな」
絶対値の法則後、あの発言は掘り起こされ大炎上したことは記憶に新しい。神威市の尊厳も地に落ちてしまったのである。
「これで肉塊の状態からは何とかなったかな」
残りの力でとりあえず裸を見られても普通に見えるようにはなった。まああの状況から身体を治すのは大変であったのは間違いない。
「疲れたからお風呂に入りましょ」
「うん!」
繭も雑念がなくなって普通の精神状態に戻ったか。しかし、私少し気になることは、やっぱりあれ・・・
「そういえば何でこんなにおっぱいでかいの?」
「トラウマなんよ!おっぱいの話は禁止!」
「なんでよ~」
そうおっぱいの話。繭がひそかに戦闘中で言ったセリフは覚えている。「骨が乳腺化している」ということ。
実はこのおっぱい、片方だけでも大量に買い物したぐらいには重い(約25kg)。デジィアティーに縮小手術をしてもらったがSやらRからMカップに下がった程度で「取り除けない」と言われてしまったのを覚えている。
仰向けになってしまうと呼吸が相当苦しくなるし、他の臓器にも負担がかかっていることは知っている。でももし肋骨が乳腺化しているとすれば・・・最悪このおっぱいのせいで全身の臓器がぺしゃんこになって死ぬかもしれない・・・。
「うぅ、胸の大きさはこのままなのね・・・」
「いつか、治せるようになるまで、がんばる。勉強する」
「いいんだけどアヴェンジアンデットにそれをされても困るというかなんというか・・・」
久々の洗いっこをしてうれしいのか胸のことでうつになってるのか、うれしいか悲しいかがわからない。
「ぷはぁー、お風呂の後の牛乳はいいわぁー」
「カルシウムは骨になるよ」
「・・・うるさい」
そういえば、アヴェンジアンデットになった彼女、球磨洋家の氏を引き継ぐから球磨洋繭という名前になるのか。
しかしまゆっちは球磨洋繭と言われるのはいやだというのでまゆっちと呼ぶしかないか。
「そういえば今後学校はどうするの?」
「う~ん・・・」
繭は悩んだ結果答えた。
「行く、かな」
繭はそう答えた。
「・・・如月ねむ」
繭は非常に驚いた顔をした。
「え、その子のことを何で知ってるの?」
「あ、いや。ちょっと夢の中で「繭のことを守ってほしい」って言われたのよ。まあ夢だけど」
「そうなんだ・・・」
繭は胸を当てて黙とうするようなそぶりを見せていた。
「そういえば早紀らは来週の学校に行くのか?」
凛が尋ねてきた。来週は学校があるが放射線の除染で1限後にしばらく閉校になるそうだ。
「あ、行きます。できれば、繭さんに謝らないと・・・」
「ふ~む・・・」
飯匙倩は本をパラパラめくりうなり声をあげた。
「残念ながら椎奈繭という人物は死んだ扱いになってるな」
「え・・・」
「彼女の身内引き取り人は彼女を売って逮捕されてますから、彼女はそもそも一人だった。そして死亡した後は戸籍から消されているようです」
「じゃあさっきまでの繭・・・みたいなやつはいったい!?」
「あれは椎奈繭で間違いないですよ。だが、もう彼女は椎奈繭でいることはないんじゃないんですか?」
照夜淸が風呂あがりに現れて言った。
「龍を殺す前に言った言葉が引っかかってな。「私は"元"尹なのでね」って。繭は椋路寺家の分家である球磨洋家の戸籍に入ったんだろ」
「ふ~む・・・じゃあ椎奈繭は死んだというよりは戸籍自体新しく作られたことになるな」
・・・膨大な戸籍謄本を調べるのもめんどくさい。彼女の謝罪はあきらめてもらうしかないか。
「いろいろな本をひっくり返すことになりますね。それでも載ってない可能性はありますが」
「でも、あきらめません」
「そう、・・・まあ何かしらあったらここに来ればいいさ」
いじめっ子らや照夜淸らは寝室に上がっていった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
飯匙倩がとある本を読んでいた。この市で起こった事件の本である。
「どうしたの?まだ寝ないん?」
「いや、私が来て少し経った後如月ねむが殺された話は知ってるな?」
「ああ、そうね・・・市全体が隠ぺい工作にはかった話」
「繭が諒あるいはねむを還魂の術式で復活させて『心身合体』という禁忌術を使うか気になってな」
「う~ん、さすがにしないんじゃない?」
「まあ、あんまり考えても杞憂な話か」
「そうねぇ・・・」
最後の学校の日となった。
「最後の日だけど、転入生が来たので、紹介するね」
この学校は1限でしばらく閉校なのに転入生?いじめっ子の人たちは繭の新しい名前だと、わかった。
入ってきた少女は白髪に少し銀が混じったようなきれいな髪色をしていた。目は繭と同じオッドアイ。紫と赤色だった。
「自己紹介できるかな?」
「ええっと、名前は、球磨洋繭。最近親の単身赴任でここに来たの、よろしく・・・」
誰か質問があるか担任が尋ねた。早紀が手を挙げた。
「あの!覚えていますか!?私がひどいことしたの!ごめん!ほんとに今まですみませんでした!!」
「お、俺も悪かった、ごめんなさい」
何人かが繭に向かって謝罪をした。
・・・・・・・・
教室に沈黙が流れた。繭は口を開いた。
「なにがなんだか私にはわからないわ、ごめんなさい」
教室が少しざわついた。
早紀は口をふさいで座り込んだ。泣いて、泣いて、泣きまくった。彼女が「いじめを知らない」なんてありえない。たぶん、回答を拒否されたのだと悟ったのだ。
花が置いてある机の席、諒の前の席に座った。諒は少し耳打ちをした。
「拒絶とはなかなかひどいことするねぇ・・・?w気持ちの余裕の表れかー?」
「なかったことにしたいだけですよ」
担任がパン。と手を叩いた。
「しばらくこの学校は、除染作業のため閉校となります。ごめんなさいね、高校受験まで見守れなくて」
高校受験、諒と繭二人はすでに進学先が決まっている。二人は今後どう生活していくか気になるところだ。




