無能力の仕打ちと確執
諒は家に帰ってきた。家に帰った後はこのデカすぎる胸を何とかしつつもシャワーを浴びて夕食をとる。
そう、胸がでかすぎて生活に支障が出ている。仰向けに寝ることはできない。息がしづらくなるのだ。
今日は家のやつらで会議をする。初めて神威中学校であったこと、授業の資料などを渡すのだが。
「繭ってやつは何者なんだ!彼女について何か調べてこい龍!」
「ち、ちょっといきなりどうしたんですか!?」
無理もない。いきなり見破られたイグシステンス、まったく効果を発揮しなかった人心掌握。明らかに繭は普通ではない。
しばらくすると龍が市の記録を持ってきた。こういうものを取ってくるのは龍の得意分野だ。
「えーっとですね・・・」
諒は固唾をのんだ。
「彼女にはいじめを行えと。その快楽に溺れる者はいない。いじめは快楽。楽しみ・・・・」
「おいそれどういう意味!?」
「まあ結論からいうと重度のいじめられっ子ですね。彼女はそもそも家でもひどい性的凌辱などを受けているとの報告がありますが、行政は無視しているそうです」
「え、なんで?」
「無能力だから」
無能力、だと・・・?神威市は無能力者をいじめまくる風習があるというのか?後ろの花瓶はいじめすぎて死んでしまった人なのか?それはあまりにも辛すぎないか・・・
「まあほかの都市でも無能力者に対する迫害というものは結構あったりするものです。しかし、私たちや飯匙倩さんたちから面白い研究結果がありましてね」
「面白い研究結果?」
「これは、何・・・?」
結構複雑な球体や楕円が直交座標を取り巻いている画像だ。簡単にいえば、sp3混成軌道みたいな、量子化学の結合で見たようなものだ。
「これの体積が能力素であるという考え方です。まあまだ学会では一蹴されていますが、これが証明されてしまえば彼女の能力はこの混成軌道の何かを表していることになります。」
そう・・・学会に一蹴されたような理論で繭の能力を測るなんて無理にもほどがある。しかもこれは普通に証明なんかできないだろ。あまりにも難解すぎる。
「ハックシュン」
飯匙倩はくしゃみをして本を読んでいた。
「風邪ですか、どうかしました?」
そう呼び掛けているのは凛。かなりの実力者である。飯匙倩と凛が本気を出せば相当の強さを持っているといわれているが、実際にそれを見た人はいない。
「いや、誰かが私のことを話しているようだな・・・、まああんまり気にするのは精神によくないのでほおっておきましょう」
「そういえば最近転校生が来たって話だよね!『椋路寺諒』って人」
彼女は一条蛍。ほんとの名前はここでは伏せられているが神威市とは隣町の甲賀市の中学に通う少女である。
彼女の能力は業火。大規模な炎技を見せることを得意とする。
「彼女も相当の強さ、私たちも警戒しなくてはならないな・・・」
そういう彼女は二条光。剣術を得意とした能力を持っている。
「椋路寺一家ねー、ここまでやってきて何をしてきたのかねー、何を狙ってるのかは気になるわねー」
彼女は鞦韆優希、鞦韆一族の生き残りである。
「優希の命でも狙ってきたんでしょ?」
「それはないと思うな・・・」
「なんで?」
「わざわざばれるように移動して殺しに来た、とは考えられませんな」
椋路寺一族と鞦韆一族は戦争の仲である。昔、新たに妊娠した鞦韆一族の親を奇襲し、赤子はどこかに捨てた。というのが最後の攻撃である。しかしその赤子はいまだに見つかっていないという・・・。