諒の復活・繭のヤンデレ
「とりあえず諒の近くに移動、そすれば簡単に攻撃できないはず」
それは確かだ。しかし認識として諒は死んだのではないかという少し懐疑的な部分もある。
「いじめを、いじめを執行する」
「しまった、危ない!」
いじめっ子の6人には指示を出してなかったためすぐに狙われた。照夜淸が飛んでいき、炎の盾でガードする。
一方そのころ諒の近くにいるベルチャー達。
「とりあえずヒール魔法だけ施しておいた」
「仰向きから横向きになってるわね、さっきの爆風のせいかしら?」
「なにを、やっているの・・・?」
繭がこっちに振り向く。
「まずいな、何か攻撃を仕掛けてくるか」
繭は何もせずこちらをにらんでいる。心臓を奪った部分には、血だらけの黝い半円が空いていた。
しばらくたつと繭は引きつった声で笑いだした。
「ひっひっひ。諒ちゃんは死んじゃったもの・・・、なら、この世界を、終わらせて、よいのだな」
突然言い出した言葉に驚愕するベルチャー達。
「この世を、滅ぼすだと?」
「そうさ、もう私には敵しかいない。ならばここで全部を消し去るのみ!」
まずい、精神状態が無敵の状態になってしまったか。彼女のよりどころは何もない。だとしたらこの世を更地にしようがどうでもいいということか。
繭は再び地面からエネルギーらしきものを吸い出す。
「さあ!まずはお前らから!くたばれぇ!破滅の閃光、ガンマ線バースト!!」
巨大な光線がベルチャー達に襲い掛かる。
「ここまでなのか・・・!」
「ベル以外消し炭にされる!これは死・・・!」
すると謎の円盤が現れ、その光線を吸い取ってしまった。この術はいったい・・・?
「私に向かって破滅の閃光を使うようになったとは、聊か偉くなったような態度してるわね」
繭はそのセリフを聞いた途端、苦虫を嚙み潰したような顔をした。
何と諒が立ち上がってイグシステンスによる亜空間を生み出して光線を消してしまったのだ。
「諒、まさか脳天撃たれたのに生きていたのか・・・!」
照夜淸がこちらに戻ってきた。衝撃的な顔をしている。
「撃ち殺したはずでは・・・」
「撃ち殺した?何のことかしら。お前が指示したくそったれの銃弾は頭をかすった程度よ。しかし、仰向けに倒れて息ができなくなって気絶してたに過ぎない」
「意味がわからないんですけど!?」
「え、諒って仰向けに寝ると死にかけるなんかの病気だったの?」
少し自我を取り戻したのか繭がとんでもないことを言った。
「デジさんから聞いた、骨の一部が、乳腺化したとか・・・うっ」
繭が再び地面から能力を取り寄せ始めた。
「つか、あたしのどうでもいい話はあとでやれ。今どういう状況なんだ?」
「心臓を潰しても奴は死なずにこのありさまだ。たまに狂ったり地面から吸収したりしてる」
「魂釘が心臓になかったわけね」
「それはどういう・・・」
繭は恐ろしいオーラを放った。さっきの痴話話が一気に吹っ飛んだ。
「この世を、今から、滅ぼす・・・!」
「ええ!?」
諒はなぜ繭が日本を滅ぼそうかということをいまだに呑み込めてなかった。このときには怨念を大量に取り込んでいたことを知らなかった。
「それは、やりすぎにもほどがあるぞ?」
「でも、みんな私をさげすみ、死を願ったんだ。みんな、みんな・・・みんなみんなみんなみんな!」
諒には現在わずかだが繭の能力が使える。彼女がなぜ狂ってるのかを人心掌握を用いて覗いてみた。
・・・見えない? 繭の精神のまわりのは謎の煙がまとわりついていた。これはいったい何なのか・・・?
「大丈夫よ・・・世界は滅ぼしてもあなたとずっと一緒・・・!」
「一緒じゃないわよ、あなたの攻撃でこの街は放射能に塗れ、昼だったら大量の死人が出ているのよ」
「諒ちゃんも、逆らう、か、ほーう?」
様子がおかしい。こんな返事の仕方はまゆっちはしない。誰かに操られ始めたか。
「おい、まゆっちを操っているのは誰だ、まゆっちを返せ!」
「諒、もしものことがあったら加勢するわよ」
ベルチャーも隣に来た。調べる感じ、恐ろしい能力素を放っている。
「誰だか知らないけど、ありがたい!」
繭は羽を広げて攻撃準備を始めた。
「アウストラロピテクスね、あれはかなり強力な球体核攻撃よ、気を付けて!」
繭は前に八つの球体を作り出し発射した。
「アウストラロピテクス!いけぇ!」
「操られたまゆっちの最大の弱点は、私の能力をわかっていない」
「な、うそでしょ!」
諒はアウストラロピテクスの弾丸をこちらに寄せていった。
「諒、このままでは死・・・」
「そのままお返しする」
諒は球体をある程度合体させ4つの弾丸を繭にぶっ飛ばしていった。
「ちっ、ぐぬぬ・・・!」
繭はかなりのダメージを受けていた。
それもそのはず、まゆっちには核耐性をあんまり教えていない。いじめを受けていた裏で護身呪術を与えていたが、その中に核耐性はないからだ。
「あなたの攻撃はほぼ核攻撃付き、しかしあなた自身は強い核には耐えられない。どうする?まゆっち」
「与えていないだと・・・この野郎・・・!」
また地面から何かを吸っている様子を見せた。が、繭はあまりいい顔をしていない。そりゃそうだ。核耐性を持ってるのはこの場では実質鞦韆一族とこの隣の女の人と私だけだ。
しかし繭は持久戦に持ち込もうとしている。再びアウストラロピテクスを発射してきては跳ね返されてダメージを受けた。
というのも、物を寄せて返すだけではほぼ能力素を使用しない。ある程度もらった能力素でも何千回はこのやり方で対抗できる。
「持久戦も無駄よ」
徐々に繭を追い詰める。
「まゆっち・・・どうか、正気に戻ってくれ・・・!」




