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閉明塞聡  作者: 大和八木
NaSSA (Noradrenergic and Specific Serotonergic Antidepressant)
19/99

大震災とその炊き出し ーしかしその後ー

断られてしまった・・・

諒はしばらく落ち込んだままだった。

「今日もあんまり気分がよくないわね」

弟があんまり食欲がなかったのか、隣にあるチョコのケーキをよこしてきた。

「そうかい、じゃあ姉ちゃん、チョコでもあげる」

「ありがと」

チョコを渡そうとした瞬間、周りががたがた揺れ始めた。

「ん!?奇襲か?」

「総員配置用意!」

家があわただしくなった。まあ家が襲われる可能性は低いが揺れるほどの爆撃があったのか?

しかし、諒にとってはすぐに奇襲ではないと分かった。これは地震だ。近くに断層でもあったかは知れないがこれは非常にでかい・・・!

「これ、地震よ!みんな床に隠れて頭を守って!」

「うわ!」

けたたましい音とともに大きく家が揺れている。自分もこれだけでかい震災は初めてかもしれない。

2分ほどして揺れが収まった。外に出たときは衝撃の光景が浮かんでいた。

燃え広がる炎、破裂して噴水みたいになっている水道管、いろいろなものががれきの山と化した悲惨な光景である。


「これはでかい地震ですね、たぶんこの地域でできるような断層で起きた地震ではないですね」

「うー、怖かった!」

<本日*時++分ごろ、関西・中部地方で大きな地震がありました、震源は滋賀県南部、マグニチュードは8.2と推測されます>

ニュースが入ってきた。飯匙倩の家では別電源で情報を見ることができる。

「妙ですねぇ、そもそもここら地域にM8.2もの地震を起こせる断層なんてありませんよ?」

「鈴鹿の方当たりかしら?」

「いや、間違いなくここだ。JQuakeの情報ではここら付近が一番最初に揺れている。

飯匙倩の家の周りも、ぺちゃんこにつぶれたような家が多かった。

「これはひどい・・・」

「まあ、椋路寺たちとかがなんかやると思いますよ。あの家は食材とかも豊富ですから」

少し照夜淸がにんまりした顔をしていた。嫌な予感がする。


昨日の大震災から一夜、椋路寺一族は炊き出しを行うことにした。今回は宣総統の命令であり、逆らうことは誰にもできない。

しかし、一抹の「不安な空気」を諒はぬぐい切れなかった。誰かが襲ってくるのでは?という不安である。

「しかしみんなよく生きていたな、あんな大震災だったというのに結構の人が来るわね」

この状況ではさすがに爆発とかで襲ってくることはなかろう。この状況で襲ってくることはおそらくない。


・・・


日が暮れてきた。そろそろ炊き出しも終わりのころである。そろそろ片付けとして私たちも何かやっていく時期だ。

「今回の不安感は杞憂だったのかなぁ」

「そうですね、最近は気にしすぎですよ」

そう考えていた、その時・・・

 ドーン

後ろの方で何かが崩れた音がした。その後、宣総統を切りつけようとした人物が現れたのである。

「敵襲だ!」

宣総統も不意を突かれたのか、切りつけられてけがをしている。けがの運搬中も襲おうとしていた。

「貴様何者だ!」

諒は切り付けてきた人物を吹っ飛ばした。ふっとばした人物には見覚えがあった。

「二条光! ・・・貴様、ここで何を!」

「ふん、あなたは気にしなくてもいいのよ」

「そういうわけにはいかないのよ」

「うるさい奴だな、私の目的は宣目的だ、貴様には関係ない」

そして宣に刃物を向けた。金をよこせという手のサインをしている。

光はあまり諒にかまう気はなさそうである。ならば、あの話を言って見せるか・・・。

「関係ないとは絶対に言えないはずよ。二条光、いや、鞦韆美沙樹」

「!・・・、ちぃ、なにそんな出まかせを!」

光は剣を構え、諒の攻撃を防ぐ気だった、が、諒は本気で切り付けてきたため、剣は折れてしまった。

「なぜここまでやるんだ?どこもか知らない相手だというのに」

「うるさい美沙樹」

再び大振りで剣を振りかざした。さすがに一般のふりをしていては大けがをすると考えた美沙樹は本領を発揮した。

「ほう、素早いわね」

「うるさい、覚えておけ!」そのまま現場を去っていった。

彼女が去ったあと、けがの治療を受けている総統に対してこんなことを聞かれた。

「彼女が美沙樹ってどういうことなんじゃ?」

「それを今説明しろというのは、いささか野暮というものね・・・」


飯匙倩の家では照夜淸と美沙樹が説教を受けていた。

「馬鹿者!今更襲いに行ってもお前らが照夜淸と美沙樹ですってアピールしているようなもんだ!」

「しかし彼らの文書では私たちのことはマークされていないでしょ?」と照夜淸。

しかし美沙樹は少し悔し紛れに言った。

「いや、残念ながら諒には私たちのことがばれているようです、しかも名前まで・・・。ただほかの人は知らないようでしたが」

「椎奈繭、彼女には謎の力が無限大に存在する。というのも、奴は"アラカルトⅩⅩ"を使っても能力が顕在しなかった。逆に言えば、それだけの逆ベクトルの吸収能力素があるということ。つまり、繭がいた時点で逃げられなかったんだな」

「それはいったいどういうことだ」

アラカルトⅩⅩは約200億Jの能力素開発素材だが、現在は絶対値の法則上販売は終了している。

「絶対値の法則は非常に根深い量子論の説明になるからおすすめにならんが、君たちの偽名は筒抜けだったってことです」

「な! それを何で早く言わないのさ!」

「馬鹿だから理解しないでしょお前ら、勝手に論文破いたり遊びに来てはこんな態度じゃあね」

「・・・わるかったよ」

「さあ、どうする?今度は向こうから攻めてきてもおかしくないぞ・・・」

「想定してる反撃って何?」と照夜淸は聞いた。

「それは・・・繭のアヴェンジアンデット化だ」

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