繭のことが好きだったのに・・・
飯匙倩は健に対して命令した。
「明日の土曜日に神威中学校の屋上に行け」
「どういうことです? まさか・・・?」
「そのまさかの可能性がある」
健は急いで学校へ向かうと「死ーね、死ーね、おちろ、おちろ」という声と一人の少女の姿があった。
「ちっ、マジかよ」
健は学校へ入り屋上へ向かった。
「あなた、本気で死ぬつもりなの?」
あたしは、完全に目が死んでいる繭を見て言った。
もう止める方法はないのか。説得が無理なら、鞦韆一族に使うつもりだったあの技を・・・・
しかし最愛の親友、いや、もう言ってしまえばいいか。片思いに、あの技を使うのはためらうのだ。
「ごめんなさい。私がいなければ、諒ちゃんは幸せになれるから・・・。」
そして足を後ろに倒そうとする。完全に決意は固い。
「まて・・・」
あたしは初めて本気でいかった声で言った。
その言葉に繭はびっくりしたのか、一瞬だけ落ちようとするのをやめた。
周りの小石が浮かびだし、ただならぬ様子を、屋上にたどり着いた健は見た。一体諒は何をしようとしているのか。
「本気で死ぬなら・・・私を超えろ・・・」
あたしは手から変化する多面体を出すと、いきなり強力な重力が襲い掛かってきた。
健は耐えられず「うわあぁ」とうめくような声を出して倒れこんだ。
強力な重力の次は強力な揺れが襲い掛かってきた。
「おおおおおい、校舎壊れる、これ校舎壊れるって!」
さっきから死ね死ね言ってた野次馬も全く動けず余裕がない。
「まずは正四角錐台から!」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「ぎゃああああああ」
野次馬だけでなく、来ていた車、いろいろなものがぺしゃんこになっていく。
揺れは飯匙倩の豪邸でも観測されていた。
「こ、これは?」
一条蛍が這いつくばりながら出てきた。
「ねえ、さっきから重いし気持ち悪いんだけど」
<B「これは絶対凍結ね」>
「え、なんだそれ」
飯匙倩はびっくりした表情を見せた。
「絶対凍結・・・だと?」
「絶対凍結って何よ・・・」
蛍がきつそうな顔で聞いた。
「絶対凍結は重力場を荒らすことによる重力攻撃です。核となる氷石を消せば何とかなりますが、まさか、椋路寺一族もおっかない物を持ってますね」
「飯匙倩は大丈夫そうじゃん・・・!」
「私はこの魔法では影響を受けない、が・・・」
後ろの本棚が大きな音を立てて壊れ、本が大量に落ちてきた。
<H「ベル、マンバ、本をおさえろ」>
<B「仕方がないわね・・・少しは本の整理をしなさいね」>
<M「まったく、これだから呼ばれるときは困る」>
M、マンバこと「ブラックマンバ」はどこかの伯爵で、誰かと闘争を続けたという話だったがそれでも7Q[J]の4災の一人だ。開放すればとんでもないことになることは知っている。
ドサッ、ドサササササササッ
ガッシャーン
シャンデリアも落ちてしまった。
「正20面体!」
「もう、やめてよ・・・・」
「え?」
あたしはあまりにも大量の力を使ってぶっ壊していることに気づいていない。さすがにこの校舎はあたしが来る前に特別施工したものであるが窓ガラスも割れている。
「もう、心配しないでいいからね」
「おい、やめ、やめなさい!」
繭はそのクリスタルに触ろうとした。触ったらマッハでぶっ飛ばされて死ぬ。そんなこと許してまたるか。
「あ・・・」
そのクリスタルは触ったのが理由かはわからないが手から落ちた。
そのクリスタルは大きく光り、大量の破片を散らしながら大爆発を起こした。
「ま、まずい。これでは繭ちゃんを守れない!」
大量の破片が周りに飛び散り、正n面体の凍結破片も落ちてきた。
「ちょ、校舎に避難・・・うわあああああ!」
「りょ、諒ちゃん!」
落ちたクリスタルは床を沿って大爆発し、校舎の床がぶっ壊れ、あたしと繭は破片とともに下に落ちていった。
「ぐ、ぐぬぬ・・・」
破片は自分の魔法なので切れることはないのだが、繭にはダメージを与えてしまうのだ。自分も、どうやら1階に落ちたせいで両足を骨折した。
あたしの前には絶望の光景が映っていた。いろいろ刺さって血まみれになった繭の姿であった。
「そんな・・・みとめない、認めないんだから・・・!」
足を引きずりながら繭のもとへ向かう。
繭は首がほぼ切断された状態で皮一枚である。必死につなげようと努力するも、自分の凍結魔法破片では空しい限りである。
しかし繭はそれでもしゃべろうとはしていた。
「ごほっ、ご、ごべんなざい。ば、ばがなわだしのことが、ごぼっ、好きだったのに、ブシュっ」
口から大量の出血をしながらも無理をして喋っている。
「もういい、もういいから。早く病院へ」
「えへへ、ごんなみぐるずうごどをみぜてごべんね・・・」
体も臓器がはみ出ていたり悲惨な状況である。
最悪だ。絶対凍結は究極魔法で使うとしばらくほかの魔法が使えないのだ。さっき魔法が使えると勘違いしたが、今は全く使えない。
「諒ぢゃんの腕枕、きもぢいいな・・・」
繭が目を閉じて口を小さくすぼむ。一生懸命あげようとしているが首がちぎれそうになる。
「・・・・・・・・」
「繭?繭!?」
繭はキスしようとしたのか、そこはわからないが、帰らぬ人となったのは確かだ。まさか自分の魔法で殺してしまうなんて最悪の結末だ。
でも一つ疑義がある。絶対凍結は繭に一切効いていなかった。絶対凍結で抑えきれる。絶対の自信があったのに抑えることはできなかった。
救急車がやってきた。あたしと繭は病院に運ばれたが繭は死亡か確認された。。。。。。
しばらくの間入院した。その間は後悔の念しかなかった。
その後、学校があった、その学校には信じられなものがあった。
「祝・椎奈繭追放」
「神威市神化決定!」
ということが書いてあったのだ。
「なんだこれはふざけないで!」
「あ、主導者さん、退院おめでとう!」
周りから拍手がまき起きった。
何も言い返せない。失望と絶望があたしを襲う。
「そんなこと言うならまたあの結晶で、今度は皆殺しにするわよ」
拍手が消えた。さすがにあの魔法はみなトラウマであったようだ。
話によると神威市で7.7万人、甲賀市4.5万人、下馬一市3.3万人が緊急搬送された。ただ下敷きになって死んだ人とかはいないらしい。
というのも絶対凍結は壊した結晶で攻撃する技で、壊した結晶は操ることや、その結晶を壁にすることができたりする。
しかしこの技は使ってから半年間、使えないという大きな欠点があるのだ。だからこいつらを懲らしめることはできないのだ。
悔やんでも悔やみきれない。




