UCJDO( Underground Cabinrt Japan Defence-Force Organization) 謎の少女
深夜、大雨の降るころ、椋路寺諒は召使の運転する車の中にいた。
「……、今どこを走ってるの?」
「そろそろ神威市です。いろいろと優秀な人たちが集まっているらしいですね」
とあるところで信号待ちをしていると、横の公園の高台に、傘も差さずに誰かがいるようである。
「ん?だれか、いる?」
諒は車を止めるように召使に指示し、傘を持って渡しに行くことにした。
しかし、自分の正体がばれるのもよろしくない。そのために、ある能力を使うことにした。
「ちょっといってきていいかな、イグシステンス!」
「行ってらっしゃい・・・ってあれ?」
諒の能力はイグシステンス。自分が存在するかしないかを変えてしまう能力だ。これを使って傘を持って行っておけば、傘だけを残すことができる。
諒の体は存在しないことになっている。だから雨も貫通する。
さて、その高台についた。ずぶぬれになってかがんでいる少女に、後ろから近づいていく。
しかし、少女はいきなり立ち上がった。諒は足を止めた。何かに気づいたのか、帰ることに決めたのかはわからなかったが、その予想は大外れだった。
その少女は振り返ってとんでもないことを言った。
「…?、…、ダレ…?」
「!!?」
雨が体を貫通している以上、イグシステンスは働いている。しかし、少女には私が見えているのか、興味津々とこちらを見ている。
き、気のせいだろう。真横に移動したり、物陰に隠れたり、ベンチに座ってみたりした。
…ダメだ。見られている。なぜだ。今までイグシステンスを破る奴なんて見たことがない。
「み、見えているのか…?」
諒はその少女に聞いてみた。
「…ご、ごめんなさい!」
なぜかはわからないが、謝られた上に、そのまま走って逃げて行ってしまった。「ちょっと待って」と言ったが、彼女を見失ってしまった。
諒はそのまま車の中に戻り、イグシステンスの能力を解除した。
「誰か走っていきましたけど、誰なんでしょう?」
「…奴には、イグシステンスが効いてなかった。ばれたうえに逃げられた」
「え…」
「さすが神威市ね。そんなすごい人もいるんだな」
その後、車を走らせて行った。傘は残しておいたが使ってくれたんだろうか?
一方、逃げた少女は近くの橋の下に隠れていた。
「私に、能力なんてないよ…」
少女は橋の下でその言葉をぼやいていた。




