侵攻開始2
「地球には勇者が存在しているとのことでしたが・・」
そう言ったのは、四天王の紅一点ウァラテリア。
「何人存在しているかは教えていただけなかったが、勇者が存在していることは間違いない。
いずれは敵対せねばならんが、こちらの準備が整うまで見つかるわけにはいかん。
もちろん、勇者以外の人間にもだ。」
「とにもかくにも、まずは周辺の捜索が必要ですね。
島の周りは見渡す限り海のようです。
セイレーン部隊を出すのはいかがでしょうか。」
ギエルグの提案に異を唱えたのは、話題に上がったセイレーン部隊の部隊長だった。
「ギエルグ様、セイレーン部隊に活躍の場をいただき大変光栄ではございますが、セイレーンはあまり寒さに強い種族ではございません。
また、海の広さや海流もわからない状況では、部下を危険にさらす恐れがございます。」
「そうか。ならば仕方ないな。
他に適任は・・・」
「では、我がレイス部隊にご命令ください。
我らに寒さは関係ありません。
海の上を移動しますので、海流の影響は受けません。
魔力を調整すれば、勇者ではない人間の目に見えないようにすることも可能です。」
レイス部隊長の提案に魔王が頷く。
異議は出なかった。
「よし、今回はレイス部隊に捜索を任せる。
この島を中心に人間を捜索せよ。
勇者や人間に見つからぬよう、細心の注意を払え。
他の者は島およびその周辺の探索、食料となりうるものを確保せよ。」
「御意!」
かくして魔王軍はレイス部隊を放ち、早々に2つの大陸を発見する。
1つはオーストラリア大陸。
もう1つが南極大陸だ。
万を超える人間が住むオーストラリア大陸への侵攻は時期尚早として見送られ。南極大陸に点在する南極基地が魔王軍の最初のターゲットとなった。




