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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第7章 進軍
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つながった世界

南極に近い、とある無人島。

暗雲が立ち込め、雷鳴がとどろき、強烈な光と共に・・・といった派手な演出は一切なく、日付が変わると同時に、闇の中からそっと、音もなくその巨大な姿を現した。

高さ、幅共に25メートルはゆうにありそうなその巨大なゲートは、灰色の2本の大きな門柱と同じく灰色の門扉によって形成されていた。

装飾はなく、人工物と言われればそう思えるほど無機質な姿だった。


ズズズ・・・


空気が震え、巨大な門扉が地球に向かって開かれた。


「ここが、地球か。」


門扉を開き、聞きなれない言語でそう呟いたのは、魔王軍の首領、魔王その人だった。

背丈は2メートルほど。

2本の腕に2本の脚。

見た目は人間のようだが、その背には大きな翼があり、頭には2本の角が生えていた。

地球でいうところの「悪魔」を想像すると分かりやすいだろう。


魔王はゆっくりと足を進め、名もなき無人島に降り立った。

島の広さと魔素の有無を確認し、懐から魔道具を取り出した。


「不可視化 認知阻害結界発動」


魔王の言葉に反応して、魔道具が青く光る。

光は半球状に広がり、島とゲートをすっぽりと覆った後、消えた。

この魔道具の効果により、近くを船で通りかかってもゲートを視認することは不可能となり、この無人島を意識することも難しくなった。

とはいえ、ゲートの出現から魔道具の発動まではまったくの無防備状態。

魔王はゲートの前で仁王立ちになり、そのわずかな隙にここを感知したかもしれない勇者に備えた。


本来なら魔王はラスボス。

初っ端の戦闘に登場するべくもない存在なのだが、魔王には思うところがあった。

この世界、地球を終の棲家とするという強い思いが。

その為に、初動を間違えるわけにはいかない。

特に勇者との戦闘は細心の注意を払わなければならない為、他の誰にも任せることはできなかった。


「・・・・」


7月、南極に近いこの島の季節は冬。

夜中の気温はマイナス20度を下回る。

それでもなお魔王は微動だにせず警戒を続けていた。



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