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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第6章 別離
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再会3

黒田昴がアトラスに【なった】のは、一週間前。

もし私がアトラスの立場だったなら、一週間前にこうして会いに来た。

けれど、アトラスはそうしなかった。

考えられる理由は?

私が想うほどアトラスは私を想っていない?

いや、それはない。

それはないと信じたい。

ならば、この一週間何をしていたのか?

そこまで思考して、たどり着きたくない結論にたどり着いた。


私はこの世界を救うつもりはない。

けれど、多くの勇者たちはこの世界を救うべく準備をしている。

それは、あちらこちらから感じられる魔素の揺らぎが証明している。

では、アトラスは?

彼もまた地球を救おうとしているのでは?

つまり、この一週間、アトラスは地球を救うために準備をしていたのではないか。

そんな、たどり着きたくない結論に至った。


月桂もとい、澪は知らない。

アトラスが女神へ地球を救うと誓約していることを。

その誓約を破れば、アトラスとしての力はもちろん、記憶までも失ってしまうという事を。

そして、アトラスもその事実を告げない。

アトラスのような死亡した勇者と女神との誓約に、隠された意味があると感じたから。

とどのつまり、澪のような(あるいは澪を狙って)地球を救おうとしない勇者達を、魔王軍との戦いに駆り立てるためにあんな誓約をさせたのではないか。

仲間が地球を救おうとしているのに、自分だけ傍観を決め込んでいいのかと、そう思わせるために。

愛する人が魔王軍との戦いに身を投じるというのに、自分だけ隠れ続けていいのかと、そう思わせるために。

考えたくないけれど、思い過ごしだと信じたいけれど、そんな可能性があるのなら、澪に誓約の事を告げるべきではないと、アトラスは判断したのだ。


お互い強く抱きしめあいながら、澪は怯え、アトラスは覚悟した。




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