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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第5章 宿願
82/135

準備は大々的に1

私が核兵器を回収したり、藤谷を拉致するために準備したりしている間、私以外の勇者経験者たちは、ある者は密やかに、ある者は大々的に世界の危機に備えていた。


時は少しさかのぼり、私が日本に戻り、第一拠点の完成を待っているときのことだった。

久しく見ていなかったテレビを何気なく点け、何気なくニュース番組を見ていた。

エンタメから政治へと話題が移り変わり、巨額の防衛費が補正予算として組まれたと伝えていた。


「へー、総理大臣変わったんだ。

 え?は?若すぎじゃない!?」


補正予算についてインタビューを受けているのは、30代の総理大臣だった。

最年少就任記録の更新はもちろん、なんと当選1回目。

名前は、東高辻ひがしたかつじ 冬馬とうま

父親は入閣経験のある有名政治家で、その父親が亡くなり地盤を継いでの立候補とのことだった。

とはいえ、だ。

そんな青二才を誰が総理大臣に推すだろうか。

投票するだろうか。

あまりの違和感に、魔法あるいは魔道具の存在があると思った私は国会を傍聴した。

鑑定はカメラ越しには使えないからだ。


結果として、彼は勇者だった。


女神と思われる存在から最初にメッセージが届いたのが7月14日。

ちょうど衆議院選挙の公示があった頃だ。

衆議院選挙の投開票は7月末。

おそらく立候補自体はあのメッセージの有無にかかわらず決まっていたのだろう。

けれど、あのメッセージと共に手に入れた魔法や貢献度ポイントショップで手に入れた魔道具が、あるいは勇者としての使命感が、はたまた彼自身の欲が、総理大臣になるという結果をもたらしたのだろう。


「はは。

 あの時、総理大臣に直接訴えかけても無駄だっていう結論に至ったけれど、総理大臣が勇者なら、杞憂だったわね。」


地球上に何人いるのかわからない勇者のうち、私が最初に見つけた勇者はまさかの総理大臣だった。

さらに彼は私の鑑定を弾きも、妨害もしていなかった。

おそらく他の勇者経験者に自分をアピールし、仲間を募っているのだろう。

私が傍聴した国会に他の勇者はいなかったが、彼が初めて登場した国会には国中から勇者経験者が集まっていたのではないだろうか。


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