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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第5章 宿願
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準備は密やかに6

20XX年9月某日 午後9時。

私は藤谷が収監されている特別監房の前に立っていた。


特別監房に潜入するにあたり、色々と調べてもらった結果、以下のことが判明した。

まず、特別監房に出入り可能な人物は、刑務官4名とその上官1名。

健康診断の際に医者が1名。以上だ。

全員が信者でないことを入念に確認され、特別監房についてはかん口令が敷かれている。

この6名のうち、上官と医者は滅多に特別監房に出入りしない。


刑務官は12時間交代制で、監視室には常時1名の刑務官が勤務している。

入口、監視室、廊下、特別監房室には死角のないように監視カメラが設置されており、週に一度上官が映像のチェックを行う。

つまり、リアルタイムで藤谷を監視しているのは監視室にいる刑務官一人のみ。

よって、潜入にあたっては刑務官との入れ替わりが最も適していると判断した。


潜入方法はいたってシンプル。

刑務官の一人になりすまして特別監房へ潜入する。

なり替わる刑務官は黒田に頼んで拉致、もとい、保護して、頭の隅から隅まであらゆる記憶を覗かせてもらった。

記憶にあるとおりにふるまえば、魔道具による変装を見破られることはないはずだ。


「落ち着いていけば、大丈夫、なはず。」


自分の声ではない、なり替わった刑務官の声でそう自分に言い聞かせる。


「お疲れ様です。交代です。」


なり替わった刑務官の記憶にあったとおり、交代の挨拶をする。

正体が露見する可能性として、交代予定の刑務官が勇者経験者だったというケースを想定していたが、全力で鑑定した結果、目の前の前任の刑務官はいたって普通の地球人のようだ。


「お疲れ様です。特に異常ありませんでした。」


前任の刑務官が敬礼して、特別監房の鍵を私に手渡した。

記憶通りのいつものやり取り。

帰っていく前任の刑務官の背中を見ながら、安堵の息をついた。



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