計画を立てる5
黒田に手渡したのは片手に乗るほどの小箱。
箱そのものは黒く、緑色の魔石が真ん中に埋め込まれており、それを囲うように箱全体に金色の魔方陣が描かれている。
「アイテムBOXよ。」
黒田の顔に驚きと喜びの表情が浮かぶ。
「本物初めて見たぜ!
これはあれか、中に入れたものの時間が止まって、容量は箱の数十倍あるっていうやつか?」
「ほぼ正解。
残念ながら時間停止機能はついてないわ。
箱の中に入れると時間の流れが1/10になるの。
容量は20メートル四方の立方体くらい。
この緑色の魔石の上に手をかざして取り出したいものを念じれば取り出せるわ。
収納するには緑色の魔石の上に収納したものをかざせば勝手に収納される仕様よ。」
異世界では簡易型アイテムBOXと呼ばれていた代物だ。
異世界の冒険者の間では、この簡易型アイテムBOXを買えるようになってやっと一人前といった風潮があった。
もちろんピンからキリまで様々なタイプがあるが、今回の緑色の魔石がはめ込まれたBOXはその中でも最上位クラスのものだ。
貢献度ポイントショップで100億円を換金し、私のアイテムBOXから簡易型アイテムBOXへ移動させる。
黒田の目には、空中から札束がバラバラと落ちてきて、その下に設置した簡易型アイテムBOXに吸い込まれていくように見えただろう。
「すげえな。
・・・・コレ、高いのか?」
「日本円で5000万くらいかな?」
「5000万か。」
「少しお安くしとこうか?」
「お願いします。」
その後、追加注文があったのもまた、別の話。
「侵攻開始までに準備してほしい物資と拠点の計画書も渡しておくわ。」
「・・・・分厚いな。」
「A4コピー用紙数百枚程度よ。
必要物資の一覧と必要量、拠点の立地と建設してほしい家の大まかな設計書。
目次とインデックスも付けた親切仕様よ。」