計画を立てる3
ひとしきり笑ってやっと落ち着いた黒田が、それじゃあと言って仕切りなおした。
「具体的には何を、どれくらい集めればいいんだ?」
「想定しているのは人間が魔王軍に負けるという最悪のケースよ。
魔王軍は私を、生き残った勇者を草の根を分けてでも探すでしょう。
だから、拠点から一歩も出なくて済むように、寿命が尽きるまでざっと60年分の物資
が必要なの。
それから何が起きるかわからないから、10人分くらい揃えておこうと思ってる。」
「お嬢さんは石橋を叩いて渡るタイプだな。
とはいえ、60年×10人分ってなるとそりゃ結構な量だな。」
「ええ。
それだけの物資を個人が集めるとなると、さすがに目につくでしょう?」
「人間側の、勇者関係者には何を目的として行動しているのかすぐ分かっちまうだろうな。」
「何度も言うけれど、見つかりたくないの。
だからあなたにお願いしたい。
方法はまかせるわ。
会社を作るならそのお金も出すし、人を雇うならもちろんその費用も持つわ。
この話を聞いて、あなたも今後に備えたいというのなら、その費用もね。」
「いや、自分の分は自分で何とかするさ。」
「そう?別に気を使わなくていいのに。
ああ、それと、拠点の準備も一緒にお願いできる?」
「拠点ってことは、家か?マンションか?」
「どっちもよ。
拠点は国内に数か所。世界中に十数か所程度散在させるつもり。
一軒家やマンション、地下シェルター何かも考えているわ。」
「海外か。そりゃまた大変だな。」
「獅子組は外国のマフィアとも繋がりがあるらしいって、テレビで報道されていたわよ?」
「う、ま、まあ繋がりがないわけじゃねえが・・・
いいのか?勇者サマの拠点がマフィアを通じて準備されるなんて。」
「ヤクザにお願いしているのに今更でしょ。」
「いや、そりゃそうだが。」
「それにね、むしろその方が都合がいいのよ。」