再開
女神と思われる存在からメッセージが届いて数日後。
ピンポーン
真昼間にインターホンが鳴った。
探知遮断結界を発動していて油断していたからなのか、集中してこれからのことを考えていたからなのか、誰かが部屋の前まで来ていることにまったく気付かなかった。
「誰??」
もし、勇者や政府の人間だったならば危険を冒してでも転移魔法を使って逃げなければと身構え、できるだけ音を立てないようにしてモニターをのぞき込む。
「あ、黒田だ。」
そこには数週間前に見送った黒田の姿があった。
「はーい。ちょっと待ってね。」
探知遮断結界を解除し、姿を隠す魔法も解除する。
「久しぶり。」
「ああ、久しぶりだな。」
「元気そうで何よりだわ。
今日は約束を果たしに来てくれたんでしょう?」
「ああ。」
再会を喜ぶ間柄ではないが、随分と無表情だなと思った矢先だった。
いきなりぽろぽろと涙を流し始めた黒田。
「?どうしたの、え、まさか泣いてるの?!」
本人も指摘されて初めて泣いていたことに気づいたようだった。
このままでは玄関先でいかつい男が泣いていたと噂になってしまう。
「ちょ、どうしたの?とりあえず中に入って。」
玄関先に立っていた黒田を引っ張り込み、玄関のドアを閉めた。