20xx年7月15日
「うん、やっぱり見つからないことが最優先。
お金は黒田に頼むなりして工面しましょう。
確か、使い捨ての探知遮断結界を張る魔道具がアイテムBOXの中にあったはず。」
魔道具は使用時に待機中の魔素ができる限り揺らがないようにできている。
魔法を使うよりは見つかりにくい。
とはいえ、拠点に防御魔法を張ったり、移動用の魔方陣を組んだりするためには魔法を使わざるを得ない。
できるだけ目立たたず、でも1年後を見越して準備もしたい。
「あーもう、矛盾してるわね。
明日になったら他の勇者達が好き勝手魔法を使いまくってくれることを祈るしかないか。
木を隠すには森の中っていうからね。」
拠点を準備するにしろ、物資を調達するにしろ一朝一夕でとはいかない。
その間に他の勇者の魔法に紛れるように、ちょっとずつ、ちょっとずつ準備するほかないだろう。
「あ、会社も辞めよう。
どうせ1年後にはなくなるのだし。
黒田には、信じるかどうかわからないけれど事情を話して、物資の調達に協力してもらおうかな。
できるだけ私が表に出ないように動いてくれると助かるのだけど。」
ティロン
大まかな方針を決め、時計を見た時だった。
「ちょうど12時を回ったタイミングでメッセージということは・・・」
はやる気持ちを抑え、メッセージを開く。
≪勇者の皆様へ
事前告知通り、皆様へ勇者としての力を再度付与いたしました
装備等はアイテムBOXへ再配布いたしました
同時に、ショップも利用可能となりました≫