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プロローグ
一度目の世界を救うと、私は元の世界に還ることができた。
5年ほど異世界にいたが、元の世界では1分と時間がたっていなかった。
驚きはしたが、それ以上に私をガッカリさせたのは、元の世界で魔法が使えなかったことだ。
「いやいや、こっちの世界でも魔法が使えて、オレツエー無双がテンプレでしょ?!」
と、独りアパートで絶叫した記憶がある。
とはいえ、5年の経験が全く無駄だったというわけではない。
「魔法使いのくせに」と言われ続けていい加減イライラしていた私は、魔法以外にも修練を積んでいたのだ。
そもそも、魔法は修練せずともある程度イメージ通り使えていた。
勇者の野郎と同列に並べられるのはごめん被るが、私にも加護というものがあり、元来オタクであった私には、魔法を使うイメージがしっかりとできていたのがその要因だろう。
とはいえ、魔法使いが使える魔法には限度があり、魔力が尽きれば魔法は撃てず、ただの的になってしまう状況もあった。
そんな時に私を守ってくれたのは、召喚国の兵士だった。
勇者より勇者に見えたね、ほんと。