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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第1章 奇縁
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自己紹介2

「今更なんだが、自己紹介してなかったな。」

男の言葉に思考が引き戻される。

「そういえば、そうね。」

「俺は、獅子組若頭の黒田くろだ すばるだ。」

「獅子組って、ここら一帯を仕切っている、あの?」

「そうだ。」

獅子組といえば内部抗争が激化し、しばしば負傷者を出してニュースになっている。

そこの若頭。

・・・意外と大物だったようだ。

どうしよう、これ、大丈夫かな?

そんな不安が顔に出ていたのか、

「迷惑はかけねぇ。たとえ殺されても、あんたのことは話さない。」

「・・・そう。」

私は名乗ろうかどうか少し迷って、

「・・・私は、くすのき 月桂つきか 

 まあ、偽名だけどね。」

「偽名かよ!」

「あら、知らないの?名前って簡単に名乗ってはいけないのよ?

 何されるかわからないんだから。」

「ははは、なんだそれ。」

男---もとい、黒田が笑う。

拾った時とは違い、顔色もよくなった黒田の屈託のない笑顔に、私の心臓が跳ねる。

黒田は一通り笑うと少し名残惜しそうにしながら、

「それじゃあ、そろそろ。

 本当にありがとう。この恩は絶対に忘れない。」

そう言って、玄関の扉を開け夜闇の中に消えていった。


その後姿に軽い既視感を感じたが、すぐに扉を閉め、鍵をかける。

黒田が生き残れるかどうか、かなり分の悪い賭けになるだろう。

もし、生き残れなかった場合を考えて、黒田と接触した痕跡はできる限り残したくない。

見送りなどリスクでしかない。

「・・ちゃんと生き残って、約束を守ってもらわないと困るんだから。」

2日ほど面倒を見ていたから、ほんの少しの寂しさを感じるだけだ。

そう自分に言い聞かせた---。

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