招かれざる客3
「・・いえ、結構ですよ。」
警官達は小声で何か確認した後、そう答えた。
おそらく時間も場所も発砲事件から離れていたため、目撃している可能性が低いと判断されたのだろう。
「お時間いただきありがとうございました。
戸締りにはお気を付けください。それでは、失礼します。」
軽く一礼して、警官たちは隣の住民へ話を聞くために去っていった。
扉を閉め、鍵をかける。
不自然ではなかったはず。
そう自分に言い聞かせる。
「はあ。」
つい大きなため息がもれた。
リビングを見ると男と目が合う。
「・・迷惑をかけてすまない。
すぐに出ていく。」
「落ち着いて。
警官たちはこのあたり一帯の聞き込みをしているらしいわ。
今外に出たら鉢合わせになるし、聞き込みをしている警官が彼らだけとは限らないのよ?」
「・・・」
「それに、まだ熱もあるし体力も回復してないでしょう?
それとも、安全に連絡が取れる医者でもいるの?」
「・・いや、今は無理だ。」
「そうでしょ?
観念しておとなしくしてなさい。
ここを訪ねてくる人なんて、さっきの警察以外いないんだから。」
「実際にお兄さんが訪ねてくるということはないのか?」
「ないわ。それはない。」
あまりにきっぱりと否定するものだから、男は少し困惑した様子だった。