魔王軍作戦会議2
「全員が勇者だとして、80人。
奴らは連携して動いているのですか?」
「全員が同一の組織として動いている様子はございません。
組織立った行動が確認されたのは日本ですが、現在は組織として機能していないようです。」
「理由は分かっていますか?」
「潜入させた部下の報告によりますと、ゲートの出現が確認できなかったことで離散したとのことです。
しかしながら、組織のトップが日本の総理大臣であり、彼も勇者だと確認できました。
ゴーストアタック以後、我々の存在を認識した日本の勇者たちが再度集結する可能性も捨てきれません。」
「日本ですか。
たしか、魔素の揺らぎが最も多く観測された地点でしたね。」
ウァラテリアの指摘に、ギエルグが素早く資料に目を通す。
「ウァラテリア様の指摘通り、日本の魔素は他よりも多く揺らいでいます。
勇者として確定あるいは、勇者らしき人物の数も日本が最も多いと報告を受けています。」
「ギエルグ様のおっしゃる通りです。
諜報部が勇者として確定した人数は5名。
勇者らしき人物は3名です。」
諜報部の報告に、これまで何の反応も示さなかった侵入者の心臓が跳ねる。
「む?待て、どうやらネズミが入り込んでいるようだ。」
魔王のその発言に、四天王は殺気立ち、侵入者の心臓がまた跳ねる。
「出入口を封鎖しろ!
キャスタル老、探知魔法をお願いします。
ウァラテリア様、透視魔法で捜索をお願いします。
ノクィエ様、結界魔法を展開してください。」
魔王の傍に移動し、防御魔法を展開しながらギエルグが指示を出す。
「「「承知!」」」
四天王たちはすかさず魔法を展開し、会議室は誰も出られず誰も入ることのできない空間となり、全てを見通すウァラテリアの透視魔法とキャスタルの探知魔法により、侵入者は丸裸にされた。
「いました!
ノクィエ様の右後方です!」