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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第8章 それぞれの戦い
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実験開始6

血まみれになった床を見て、流れ出た血液のおおよその量を計算する。


「違うわね。

 この出血量なら、昨日のように意識を失ってもおかしくない。

 つまり、失った血液を100%再生することはできないけれど、ある程度は再生できている・・・。

 これは要検証・・と。」


「う、ううう。」


「はいはい。

 輸血してあげるからちょっと待っていなさい。」


アイテムボックスから輸血パックを取り出そうとして、手を止める。


「あら、在庫がもうないじゃない。

 貢献度ポイントショップで買っておかなきゃ。

 藤谷は、AB型のRh+だったわね。

 どの血液型でも輸血はできるけれど、わざわざ別の血液型にしなくてもいいか。」


数ポイント分の輸血パックを確保して、輸血を再開する。


数十分ほどすると徐々に顔色が良くなり、意識もはっきりとしてきた。


「そろそろ実験を再開しましょう。

 手首の切断は完全に再生されたから、次は肘下ね。」


手首を切り落とす前には見られた反抗もなくなり、途中に何度か輸血を挟みつつも実験はスムーズに進んだ。


「肘、肩からの切断はともに完全再生。

 それ以上の欠損は完全再生とならず、ね。

 足は膝からの切断は完全再生だが、片足まるまる一本を再生する力は高級ポーションにはない。

 再生できる体積が決まっているのかしら?

 再生能力が体積に依存しているとすると仮定するならば、臓器の再生は高級ポーションで可能・・・?

 構造の複雑さも加味される・・・?」


実験を重ねれば重ねるほど検証すべき事項が増えてゆく。

本来なら魔物相手に実験を繰り返して、最後に人間で確認しようと考えていた。

しかしよく考えれば魔物と人間は全く異なった生き物だ。

臓器の種類や位置も、再生能力も比較にならない。


「結果としては、無駄足を踏まずに済んだわね。

 実験体がいてくれて本当によかった。

 これからもよろしくね。」


にっこりと微笑んで、私は次の実験を開始したのだった。

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