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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第8章 それぞれの戦い
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実験開始4

「あらあら、大丈夫?

 指の骨が折れているじゃない。」


普通の人間が普通の人間を殴れば、双方怪我をするが、私は普通の人間ではない。

そこらの勇者の倍のステータス、つまり、高い物理防御力を持っている。

長い拷問生活で一般人以下の腕力しかない藤谷が私を殴れば、こうなると分かっていた。

折れてしまった指を抱え込むように体を折り曲げ、痛がる藤谷を見て、


「自ら進んで怪我をするくらい、ポーションの実験が気に入ったの?」


にっこりと微笑みながら、声をかけた。


「ひっ!

 も、申し訳ございません!」


流れるような動作で土下座をする藤谷。

何度も見てきた光景だ。


「まったく、これで何回目なの?

 反抗しても無駄だって、忘れちゃったのかしら?

 ゴブリン以下の知能しかないの?

 ああ、それだとゴブリンに失礼かしら。」


「いえ、私はゴブリン以下です!

 ですから、どうか・・」


「そう、ゴブリン以下なのね。

 じゃあ、駆除しないとね。

 奴らは放っておくと繁殖して、悪さばかりして迷惑なのよね。

 それ以下なのだから、あなたもさぞかし迷惑をかけるのね。

 ああ、もう迷惑以上の事をされていたわ、ね?」


土下座をしている藤谷の頭を掴み、そのままひねり上げ、目を合わせて微笑む。

私の微笑みは怒りと繋がっていることを理解している藤谷は、顔を引きつらせながら謝罪の言葉を口にしようとする。


「ああ、いいのよ、謝罪なんて。

 そんなものは何の意味もなさないのだから。

 何度殴っても、何度殺してもこの憎しみは消えそうにないわ。」


掴んでいた頭を壁に向かって投げる。

1メートルほど宙を舞った体は、鈍い音と共に壁にぶつかり、藤谷は苦悶の声をあげた。


「明日も実験だから今日はこれくらいにしておいてあげる。

 食事は抜きよ。

 わかったらさっさと独房に移動しなさい。」


「は、はい・・・。」


その後は反抗する様子もなく、実験一日目は終了した。


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