招かれざる客1
ピンポーン
インターホンの音にビクリと体が跳ねる。
気づかないうちに寝てしまっていたようだ。
見ると男も目を覚ましたらしく、険しい顔で玄関の様子を窺っていた。
居留守を使おうかと思ったが、こんな朝早くから訪ねてくる知り合いに心辺りはないから、訪問客はおそらく、
「警察だろうな。」
「でしょうね。」
招かれざる客とはこのことだ。
「毛布を頭からかぶってじっとしていて。」
小声でそう指示を出し、意を決してインターホンをのぞき込む。
案の定、制服を着た警官二人が立っていた。
自分の衣服に血痕や疑わしい痕跡がないかどうか一通り確認して、応答ボタンを押す。
「はい、なんでしょうか。」
「朝早くから申し訳ありません。
お尋ねしたいことがありまして、ご近所の方々にお話を伺っています。
少しお時間いただけませんでしょうか。」
「わかりました。」
昨日のことがばれて私というか、男を訪ねてきた、というわけではないらしい。
大きく深呼吸してから、玄関を開ける。
玄関を開けると、警官たちが軽く会釈する。
「朝早くから申し訳ありません。」
雰囲気にとげとげしさや緊張はない。
「いえ。・・あの、何かあったんですか?」
「ええ。実はですね、昨夜この近くで発砲事件が発生しまして。」
「は、発砲事件ですか?!」
不自然にならない程度に驚いてみせる。
「はい。それで、もし何か不審なものや不審な人物を目撃されていないか、こうしてお伺いして回っ
ているという次第です。
昨夜の9時頃なのですが、どうでしょうか。」