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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第8章 それぞれの戦い
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実験開始2

淡々と記録をつける私とは対照的に、藤谷は一週間ぶりの痛みと恐怖に震えていた。


何故自分がこんな目に遭わなければならないのか。

この人の形をした悪魔は、どこまで自分を痛めつければ満足するのか。

痛い、怖い、痛い。

声を出せば、より痛く、より苦痛を与えるように傷つけられる。

逃げたい、けれど、体はびくともしない。

そんな思考だけが駆け巡り、目から涙が流れた。


「泣くほど痛かった?

 まだまだ序の口よ?」


「ううう・・・」


「たった一週間で苦痛耐性を失くしてしまったの?

 まあいいわ。

 そのうちまた耐性が付くでしょう。」


恨みがましい視線を無視して、私は次の実験の準備を始めた。


「次は火傷ね。

 魔法・・・だとやりすぎるから、ライターと熱した鉄板でいいかな。」


いまだ恨みがましい視線を送ってくる藤谷の目の前で、アイテムボックスから取り出したライターに火をつける。

カチッという音と共に炎が灯る。


「どこにしようかしら。

 足・・・腕?

 あ、そうだまずは髪の毛にしましょう。

 初級ポーションで燃えてなくなった髪の毛を復元できるかしら?」


ライターの炎を目から頭へと移動させる。

藤谷は、炎を避けようと頭を逸らせるが、首につけられた固定器具のせいで頭の位置は変わらない。


「動かないで。

 間違えて顔を燃やしちゃうから。」


ジュっという音がして、藤谷の短い髪の毛が燃える。

たんぱく質が燃える特有の匂いが実験室に漂った。

炎は髪から髪へと燃え移ってゆく。


「んんん゛―!!」


数分で藤谷の頭が火だるまになる。


「これ以上やると実験室が燃えちゃうわね。」


延焼する前に魔法で水を生成し、消火する。

髪の毛はすべて燃え落ち、火傷した頭皮が露出していた。


「この状態の頭に初級ポーションをかけると・・・髪の毛は復元されない。

 頭皮の火傷は・・軽度の火傷は治っているけれど、治り切れていない部分もあるわね。

 傷の面積と治癒効果は反比例しているのね。

 ・・・身体の欠損を再生する高級ポーションを使ってみると、オーケー、髪の毛が再生したわ。

 頭皮の火傷も完治ね。」


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