実験5
「それじゃあ実験を始めましょう。
その台に寝て。」
そう藤谷に指示を出すが、なかなか移動しようとしない。
一週間まともな生活をして、まともな思考回路が復活したのだろうか。
「指示に従わないなら、拷問室に逆戻りでもいいわよ?」
「!!
も、申し訳ありません!」
藤谷を軽く脅すと、そそくさと台の上に移動した。
台は人一人が寝そべって少し縦横に余裕があるほどの広さがある。
天井には無影ライトが取り付けられており、さながら本当の手術室のようだ。
「固定するからじっとしていてね。」
台に取り付けられている固定器具で藤谷の四肢と胴体を固定する。
大の字に固定された藤谷の表情からは不安と恐怖が見て取れた。
「あ、あの、実験は痛くないですよね??
麻酔とか使いますよね?」
「え?私そんなこと言ったかしら?
体を切ったり縫ったりしたことはあるけれど、麻酔を使ったことはないのよね。
だから、致死量の出血がどれくらいかはわかるけれど、致死量の麻酔の量は分からない
の。
危ないから、麻酔はなしにするわ。」
にっこり笑ってそう告げると、藤谷の顔がみるみる青ざめてゆく。
「え、そ、そんな。
それじゃ拷問と何も変わらないじゃないか!」
「だから言ったでしょう?
実験の被験者になるのは悪いニュースだって。」
「!!??」
言葉にならない驚きと後悔に絶句する藤谷。
「い、い、嫌だ!
実験なんてやりたくない!」
そう叫び暴れだすが、台に固定された体はびくともしない。
「あら、嫌だったの?
拒否も抵抗もしないから、てっきり実験に協力的なのかと思っていたのに。
ああ、残念だわ。」
「初めからそう説明されていれば協ry ムグッ!」
喚く藤谷の口にタオルを突っ込む。
その上から手早く猿轡をかませ、口を封じる。
それでもまだムグムグと喚いていたので、
「五月蠅いわね。
抵抗すると余計に凄惨な拷問になるって教え込んだはずなのだけれど、忘れちゃったのかしら?」
「!!」
藤谷が体を震わせ、シンと静かになる。