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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第7章 進軍
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異変

オーストラリアに異変があると通信用の魔道具で冬馬が報告してきたのは、それから1年以上経った頃だった。


「具体的にはどんな異変が起きているの?」


「大きく2つあります。

 1つは、オーストラリア軍の軍備拡張。

 もう1つは、UMAの目撃情報の増加です。」


「軍備拡張?」


「はい。

 国防費を増やし、航空機や空母、潜水艦などを次々と新造し、徴兵制度の導入を検討しているようです。」


「・・・徴兵制ね。

 UMAの目撃情報というのは?」


「森の奥で怪しい人影を見た、未確認生物を発見した、などほとんどがSNSに投稿されたものなのですが、その数が去年と比較して数倍になっています。」


「ほとんどは作り物だろうけれど、魔王軍の誰かしらが映っている可能性も排除できないわね。」


「私もそう思います。

 ただ、鮮明な画像・動画はなく、作り物か魔王軍の姿なのか判別するのは難しいかと。」


ファンタジーが溢れかえったこの地球で、魔物らしい被り物を調達することは難しくない。

精巧にできたそれと、見たことのない魔王軍の魔物とを見分けるのは困難だ。

危惧すべきは、そのことを理解したうえで、多少の露見を恐れず、魔王軍が積極的に動き始めた可能性だろう。


「オーストラリアに魔王軍の手が伸びていると仮定すると、事態は深刻かもね。

 徴兵制を検討する段階まで話が進んでいるとするならば、国の中枢に入り込まれてしまっているうえに、すでに魔王軍がオーストラリア各地に潜伏しているのかもしれないわ。」


「その仮定が正しいとすると、魔王軍は自ら戦うのではなく、オーストラリア軍を利用して人間同士で戦うように仕向けるのでしょうか。」


「そう、かもね。」


愚かな人間は、勇者からの進言を無視し、戦争を起こすのだろう。

魔王軍に疲弊した国を乗っ取られ、次の戦争が起きて、また魔王軍に乗っ取られ・・・

気づいたときにはもう遅い。

地球の支配権は魔王軍に渡る。

そんな最悪のシナリオが頭をよぎる。


「潜入に長けた勇者がオーストラリアに向かいました。

 しばらくはその勇者からの報告待ち、といったところです。」


「そう。」


ふと胸に痛みが走るが、首をかしげる暇もなく消えた。


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