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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第7章 進軍
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対峙6

冬馬の行動は想像通りだった。

遠距離から魔法を放ち、盾の損耗を狙ってきた。


「どうした!手も足も出ないのか!?」


「・・・・」


正直なところを言えば、盾は必要ない。

私の魔法防御力があれば、直撃したとて、たいしたダメージは入らない。

煽ってくる顔がとてもむかつくが、仕込みを怠ると良い料理にはならない。


「なんだ、反撃する気も起きないのか?

 跪いて許しを乞えば、楽に殺してやるぞ?」


自分が優位に立ったと勘違いした冬馬から、警戒の色が薄れていく。

私は防戦に徹しているように見せかけながら、冬馬をあるポイントへ誘い出した。


「アンタの許しなんて、求めてないわよ。

 調子に乗っていると、痛い目見るわよ?」


「ふん。

 なに!!!う、うおっ!」


私が逃げるふりをしながら冬馬を誘い込んだポイントには、落とし穴があった。

魔法で隠蔽したりなどしていない、普通の落とし穴だ。

ただ、底には鋭利な鉄槍を仕込んであるので、落ちれば命はない。

落ちて死ねばよし。

ただ、勇者ともなればこれくらいの罠には対応できるはず。


「か、風よ俺を浮かべろ!」


浮遊魔法を使い、寸前で落下を止めた。


「あ、あぶねぇ」



浮遊魔法を発動出来て、間一髪助かったと思っているんでしょう?

浮遊魔法の発動と自分の無事を確認することに手いっぱいで、私の存在が頭から飛んでしまったでしょう?

欲しかったのはこの数秒とターゲットが動けない状況。

呪文が長く、発動までに時間がかかるこの魔法を使うために。



〈闇より生まれし数多の腕よ 彼の者を拘束し奪え〉



呪文に呼応し落とし穴の底から、闇色をした無数の腕が伸び、冬馬に絡みついた。


「闇の拘束魔法だと!

 どうして騎士職がこんな高等魔法を使えるんだ!」


驚きながら振りほどこうとするが、次々と湧き出る闇の腕にがんじがらめにされていく。


「何故だ!

 拘束魔法の強度は魔法攻撃力に依存すはず。

 騎士職のお前より、勇者の俺の方が魔法攻撃力は上なのに!」


状況が理解できず喚く冬馬。

その間にも拘束魔法は冬馬に絡みつき、MPと自由を奪っていく。


「あら、私騎士職だって名乗った覚えはないわよ?」


落とし穴の中で身動きが取れなくなった冬馬を上から見下ろしながらネタばらしする。


「だって、あの盾・・」


「魔法使いが盾を使っちゃダメなんて決まりないでしょ?」


盾と剣をアイテムボックスにしまい、杖を取り出す。


「最初に言ったけど、信者に対して手加減はしないわ。

 大丈夫。

 殺してもまた生き返らせてあげるから。」


にっこりと笑って、私は火炎魔法の詠唱を始めた。


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