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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第7章 進軍
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東高辻冬馬の計画3

特別監房。

スナッフフィルム殺人事件の犯人である藤谷星一が収監されている監獄。

公にはされておらず、その所在を知るものは限られる。

信者の接近を防ぐため、その存在を探そうとしただけで国家権力が介入する。


しかし、今や東高辻冬馬は国家権力を束ねる側。

彼が望めば魔法や魔道具を使うまでもなく、その所在は彼の知るところとなる。

冬馬が暴動に参加せず、信者であることを隠し続けてきたのは、今日のようにいつか自分の力で特別監房の場所を明らかにする日が来ると信じていたからだ。

根拠のない自信による行動だったが、それが今日実を結んだ。

恩赦はたまたま、偶然のラッキーに過ぎなかった。


冬馬は特別監房の場所を知ると、すぐに行動を開始した。

神である藤谷を迎え入れる住居と送迎用の車を手配し、体調不良を装って1人になる時間を作り、魔道具で姿を消して、自らを守るSPの包囲網を突破した。


車を走らせ、特別監房からやや離れた、監視カメラのない駐車場に停めた。

辺りに人影がないことを確認し、もう一度魔道具で姿を消すと、特別監房へ歩き出した。

一歩進むごとに心臓は高鳴り、いつの間にか走り出していた。


「ここか。」


特別監房の外観は拍子抜けするほど普通のビルだった。

ビルの入り口は自動ドアではなく、鍵を差し込んで開けるタイプのドアが一か所のみ。


「鍵解除」


シーフでない冬馬でもこの程度の魔法は問題なく使用できる。

魔法に対して何ら対策の取られていない鍵はすんなりと開き、冬馬はビルの中へと侵入した。


「なんというか、普通だな。」


冬馬の感想通り、そこは本当に「普通の」ビルの1階だった。

特別監房と名の付く施設には見えない。

まあ、それは当然と言えば当然で、刑務官が尾行されたり、万が一誰かに侵入されたりしたときにいかにも、といった造りではすぐに特別監房だと露見してしまう。

重要な施設は地下に隠し、地上はそれっぽく作る。

月桂が設計した第一拠点と同じ考え方だ。


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