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三度目の世界は救いません  作者: 金木犀
第7章 進軍
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侵攻開始4

あの作戦とは、レイス部隊による村丸ごと乗っ取り作戦のことである。

レイスは肉体を持たない種族であるため、肉体を持つ人間などに取り憑くことができる。

魔法防御力が高い者や聖職者に取り憑くことは難しいが、ただの人間であれば問題はない。

取り憑かれた人間は、体の自由を奪われ、意識は眠りにつく。

しかも、取り憑いたレイスは、体の所有者の記憶を読むことが可能だ。

見た目にも変化はなく、記憶から体の所有者の言動、癖をトレースすればよほど親しい者でもないかぎり一回や二回の接触で見破られることはない。


しかしもちろん、レイス側にもデメリットはある。

レイスは肉体を持たない為物理攻撃が一切効かない。

しかし、憑依すると憑依した肉体を傷つけられればダメージを負ってしまう。

憑依の解除が遅れれば、そのまま死に直結することもあるのだ。


話を戻すが、憑依を利用した村丸ごと乗っ取り作戦とは、文字通り、村人全員にレイスが憑依し、一夜にして人間の支配域に魔王軍の前線基地を作るという作戦である。

観察したところ、この村のような場所(南極基地)には人の出入りがなく、作戦を実行するのに適していると考えられた。

が、しかし、その作戦は科学の利器によって阻まれた。


「あの箱のようなものは何だ?」


人間を観察していると、高頻度で箱のような物に向き合っていた。

箱のサイズは大きい者から手のひらサイズのものまであり、それらには文字や数字と思われるものだけでなく、人やどこかの景色と思われるものも映し出され、時に動き音を出していた。

しかも、離れた場所にいる誰かと会話をしているようにも見えた。

現代を生きる我々には当たり前の「パソコン」「スマートフォン」を使った遠く離れた場所にいる誰かと、タイムラグなく、顔を見ながら話すことができる技術。


それは村丸ごと乗っ取り作戦においては致命的であった。


人の出入りはなくても、離れた誰かといつでも繋がることができる。

それはすなわち、取り憑いたまま高頻度で人間と会話をするということ。

親しい相手と接触するほどのリスクはないが、違和感も積み重なれば決定打になる。

最も恐ろしいのは、会話をしている相手が勇者だった場合だ。

彼らの中には転移魔法の使い手もいる。

違和感を確認するためにこちらに来られれば、魔王軍の存在を知られる恐れがある。


レイス達は作戦の変更を余儀なくされた。


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