プロローグ
一度目の異世界召喚で召喚された異世界人は私を含めて全部で四人。
勇者、癒し手、騎士、そして、魔法使いとして私。
パーティーのバランスはよかった。
召喚国の王様やら騎士団の人達もおおむね態度は友好的で、民衆も異世界人に対して羨望と期待の眼差しを向けてきた。
しかし、一点、問題があった。
それが勇者だ。
「癒し手のくせにこんな傷も治せねぇのか」「騎士のくせに俺の盾にもなれねぇのか」「魔法使いのくせにそんなショボい魔法しか撃てねぇのか」
が彼の口癖であった。
召喚者である召喚士や、その世界の人たちにも大柄な態度をとる。
そのくせ自分は訓練や、スキルをレベルアップさせるという努力はせず、戦いは聖剣と加護頼みという、もう、どうしようもない勇者だった。
二度目の召喚を経験したときに私は悟った。
ああ、一度目の世界の魔王は「弱かった」のだと。
世界の危機にはどうやらランクのようなものがあるらしく、二度目の召喚による世界の危機を危険度Aとするならば、一度目の世界の危機度はCもしくはDといったところだった。
そうでなければ、あの勇者率いるパーティーで世界を救うことなどできはしなかったはずだ。