第一章 復讐の炎 入学
3.入学
村の人達との別れを済ませ、王国の都市部を目指す。聖アルテミス学園は王国の都市部のさらに栄えてる場所に位置していた。別れの際、村の人達から暖かい言葉をもらうとシエルは我慢しきれず、わんわん声をあげて泣いていた。流石に俺は泣きはしなかったがこの暖かさは一生忘れることはないだろう。
学園に着くとまず、門に立っていた人に寮に案内され、入学証明書など必要なものを渡し、無事に俺とシエルは入学することができた。
寮長と思わしき人物から寮についての説明を受ける。これから入る寮は男女で分かれているらしい。これまでみたいにシエルと一緒というのは難しそうだった。シエルも寂しそうな顔をしている。その後部屋に案内されたが外観からのイメージとは違い、少し年季の入った古い部屋だった。だがそれにしても今までの暮らしよりは断然良いので文句はない。村ではシエルと二人凍える冬も布一枚で互いに暖め合い凌ぎ切ったのだ。そう考えるとここは天国だ。俺は初めてのベッドに身を任せ、明日の入学式に想いを馳せるのだった。
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入学式当日となった。どうやら同時にクラス分けも発表されるらしい。新入生らしき生徒達は式よりもそちらに興味津々みたいだ。
「リオンと一緒のクラスになれるといいなぁ」
シエルが隣で呟く、俺もシエルと一緒のクラスにはなりたい。しかしこの学園に入った理由は復讐だ。シエルをそれに巻き込むわけにはいかない。そのため違うクラスの方が都合は良い。
「あっ!発表されるみたい」
入学試験の時のように大きな張り紙でクラス分けが提示された。どうやらA〜Dの4クラスみたいだ。教員らしき男がクラス分けについて説明を始める。
「このクラスわけは入学試験の成績に基づいたものだ。成績の良かったものからA、B、C、Dの4クラスに分類される。下のクラスのものは日々精進するように、入学式にはクラスごとに並んでくれ、以上」
つまり、この王国で昇り詰めるためには最低でもAクラスに入っておかないと目にも留まらないというわけだ。さっそく掲示板を確認する。…俺はDクラスだった。
「私はBクラスだ!リオンはどうだった?」
俺は何も言わず自分の名前がある場所に指を刺した。シエルの表情が軽く引きつる。
「あはは..一緒のクラスになれなかったのは残念だけど、遊びにいくから元気出して」
健気に俺を励ましてくれるシエル、本当に天使である。魔族だけど。
話を聞くとどうやらこのクラス分けはだだの順位づけではないらしい。生徒の生活レベルにも関わってくるのだ。俺に与えられた部屋は寮の中でも一際人気のない部屋らしく、Bクラスのシエルにはもっと上等な部屋が用意されていたらしい。その他にもクラス順位で差別されているものも多く、生活水準を上げたければ、成績を上げるしかないのだ。
そして俺はもう一度名前の書かれた紙を見る。この中に勇者達の子供達もいるはずだ、探さずともすぐに噂になるだろう。心がざわつくのを感じる。やっと復讐のスタートラインに立てたのだった。
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