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最果ての地、終焉の森にやってきた

 ポチに跨ること6時間。

 かなり高速でやってきた。


 途中に街や村などもあったがポチにかかればひとっとびだ。


 山を越え、川を渡り、平原を疾走する。

 もはや風が気持ちいいなど言ってられるスピードではなく、軽く手を離しただけで死ねるレベルだ。


 もう少しゆっくり行こうとも思ったが、下手に遅いと魔物に絡まれる。

 うちのポチは優秀だから、絡まれたくらいじゃ大丈夫だが、なぜか狙われるのだ。


 身体が大きいから食べごたえがありそうに思われるからだろうか。

 詳しくはわからないが。


「いやーここが終焉の森か」

 目の前には大木がいくつもあり、まったく手入れがされていない原生林があった。

 ここをすべて開墾していいらしい。


 そしてここを開墾したら自分の土地になるって話だ。

 それにしても領主も奮発したものだ。


 しかし、辺りを見回してもこんな美味しい話なのに誰一人姿が見えない。

 どうやら俺たちが一番のりのようだ。


「よし! ポチまずは水場の確保からだ。水場の近くに拠点を作ってそれから俺たちの街を作るぞ!」


「おぅ! 楽しい街にしような。美味しい魔物がいっぱいいるような」


「俺はモテなかったからな。美人のお姉さんが沢山いる街にしたいな」


「本当に性格悪くないんだけどな。甲斐性がないからな。犬一匹街で養えないようじゃ嫁はしばらくは無理だな」


「うるせぇ。養えなかったのは俺のせいじゃねぇ。街が俺たちのスケールにあわなかっただけだ」

 

 俺とポチは森の中をさ迷いやがて川を発見した。

「ダンどうだ? 飲めそうか?」

「そうだな。大丈夫そうだ。うーん。美味しい」


 俺は、軽く手にとり、その後顔を思いっきりつけて水を飲んだ。

 水は冷たくて非常に美味しい。街の中よりも何か天然のいいものが入っていそうな気がする。


「あっバカ。本当に飲むなよ。俺だってあれ見て躊躇したんだから」

「えっ? なんだ?」


 そこの川の上流にはゴブリンナイトの死体が転がっていた。


「おえっ」

 確かに自然のエキスが満載だった。

 ダメだトラウマになりそう。

 水は魔法でだすか、井戸を掘ることにしよう。


「お前飲む前にそう言うの言えよ! 思いっきり飲んじまったじゃねぇか」

「悪い、悪い、10回後くらいからは言うわ」

「できれば次から頼む」


 ゴブリンナイトの死骸はあったが、排水のことや農業用の水のことを考えると川からあまり離れたくない。

 俺たちは川の近くの森の中に仮の拠点を作ることにした。


「ダン、最初は何から作るんだ?」

「まずは家だな。ポチが入れるくらいの大きさの家を作って、同時に食料も狩ってこないといけない。しばらくは持って来た非常食があるから大丈夫だけど、そればかりもあてにできないからな」


「まぁ足りなくなれば街まで戻ればいいけどな」

「それを言うな。雰囲気が壊れる」


 まずは木を切り倒すところからだ。

 ある程度地面を更地にしないといけない。

 俺は気合をいれる。


「よし。ポチ頼んだ」

「ダン、少しは木を切って頑張ろうと思わないのか?」

「わかった。そこまで言うならそこで見てろよ」


 俺は木に向かって思いっきり剣を振るう。

『ガキンッ!』

 剣が思いっきり弾かれるが、木には傷すらついていない。


「なっ?」

「なっじゃねぇよ」


「これが万年Cランクの実力だ。どうだ思い知ったか」

「御見それしました。適材適所だな」

「ガハハ。苦しゅうない。じゃあ俺は下草を刈るから、でかい木を根元から切り倒してくれ」


 俺たちはふざけあいながら楽しく、草と木を切っていく。


「どうだ? こんなもんで?」

「いいだろう。俺の方も風魔法でだいぶすっきりしたな」


 俺たちは1日で家が10軒くらいは建てられそうな広さを開拓した。

 魔法バンザイだ。


 本格的な夜がやってくる前に俺たちは野営の準備をする。

 今日はポチと一緒に星を眺めながら寝ることになるが、明日には家を建ててしまおう。

 念願のマイホームだ。

 

 一軒家に庭付き、そして可愛いわんこ。

 これぞ冒険者時代に憧れていた理想のままじゃないか。

 あとは可愛い嫁さんがいれば言うことなしだ。


 しかも、家に使うここの木のほとんどは終焉の森の鉄鋼木だ。

 鉄鋼木は加工ができない木と言われている。


 実際はできないわけではないが、その固さはミスリルに匹敵するとも言われる。

 ただ、ミスリルのように熱して溶かして形を再結成できるようなものではない。


 なかなか燃えにくい素材ではあるが、燃やし続ければ燃えてしまうし、何とか削って形を整えるしかない。


 だが、この世界でミスリルを削れる素材なんて言えばわかっているのはオリハルコンしかない。

 オリハルコンなんて希少金属で鉄鋼木を削るような奴はいない。


 だから、終焉の森は徐々に範囲を広げているが誰にもそれを止めることができなかったのだ。

 でも、うちのポチはそれをいとも簡単に切り倒し、裂けるチーズの勢いで割いてくれる。


 本当に可愛いわんこだ。


 ポチにはこの鉄鋼木についてまったく言っていない。

 だから、普通の木だと思っているかも知れない。


 ポチっていったいなんの犬なのだろうか?

 俺の知識では全然わからないが、わからないことは考えてもわからない。

 俺たちは不味い非常食を一緒にわけあい、ポチのモフモフの中で眠りについた。

 今日も幸せな夢が見れそうだ。

ポチ「ゴブリン水美味しかったか?」

ダン「なんとも言えない自然の雄大な味がした」

ポチ「意外に図太いよな」

ダン「ガハハ万年Cランクをなめるなよ」


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