最後のお別れ
私は35才のサラリーマン妻幸恵32才と息子慶太郎7才の3人暮らしである。
妻と出会ったのは会社勤め初めて新入社員の歓迎会の2次回で行った飲み屋でバイトをしていて…可愛らしい子だなぁと思いその後仕事終わりにたまに会いに行くようになり…まぁなんとなく付き合うようになり…まぁなんとなく結婚までいきその後子供も産まれ…
まぁまぁ幸せといえば幸せな家庭かも…
だた私には1年ほど前から美香26才の彼女がいる。私は美香の為なら家族を捨ててでも一緒になりたいと思っている。
原にここ2ヶ月ぐらいは美香のマンションに泊まる回数が増えている。妻は何故何も問いたださないのか不思議なぐらいだ、もしかしたら私と別れたら今の生活が出来なくなる事を避けたくて黙っているのか、私は35才とはいえ商社に勤め給料もそこそこもらっている、家も5年前に建て何不自由なく暮らせてるはずだからでも私は妻と別れ美香と暮らしていきたい、もちろん子供は可愛いが清算し、とにかく一刻も早く妻に別れを告げようとタイミングをみていた。
ある日息子がお泊まり学校が1日あり今日の夜は妻と二人だけの日が訪れた私はこのチャンスに離婚の話をしようと決意していた。
私「ただいま」
妻「今日は早かったんだね、おかえりなさい」
私「大事な話がある」
妻「そう分かった」
私は妻のあまりに冷めてる返事を聞いて夫婦として終わってると思った、昔から妻の冷めてるところというか冷静なところが鼻について可愛らしくない…それに比べ美香は泣いたり笑ったり喜怒哀楽があり可愛らしくて仕方がない
妻「話は何?」
私「実は離婚してほしい」
しばらく沈黙…が続いたきっと色々聞かれるだろうと思い準備はしておいたがその後
妻「分かった」
私「いいの?」
思わずビックリしてでてしまった言葉
妻「但し条件がある」
私「何?」
妻「明日から一ヶ月間仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰り3人で夕飯を食べる事と私が寝る時に必ずお姫様抱っこをしてベッドに連れて行くように。」
私「一ヶ月間やれば離婚してくれるの?」
妻「もちろん」
私は驚いた、たった一ヶ月間我慢すれば離婚出来るなら頑張ってやりとげよう
私「分かった」
妻「一ヶ月間宜しくね」
そこから妻の約束を守る為の生活が始まった
1日目:久しぶりぶりに家族3人で夕食息子のお箸の持ち方が気になり教える、妻はニコニコしながら黙ってみていた
息子とも久しぶりにお風呂に入り色々な話をした
妻とは会話は無かったが妻が眠いと言ったのでお姫様抱っこをしベッドに連れて行った。ちょと痩せた気がしたのは気のせいかな?
そこから1週間しっかり家に帰り妻をベッドまで運び頑張ってみたその頃から美香から愚痴ぽい電話が入るようになったが後少しの我慢と言い聞かせた。
10日目:息子が私にパパはママの事が大好きなんだね!と言ってきたので私は大好きだよとは言えず何故そう思うか聞いてみたら
息子「だってパパはママを抱っこするから」
と言ってきた
その頃からこの家族団らんが苦ではなくなり…何故か私は息子との時間が心穏やかになる
12日目:妻をベッドに連れていく為に抱き抱えた時にかなり軽くなった気がしたのは気のせいかな…それとも毎日やっていたから慣れたのか
13日目:休日で仕事が休みだったので妻と息子と遊園地に行った
疲れたが楽しかった。妻が少し具合が悪そうだった…大丈夫なのか…私が離婚の話をしたから体調が悪くなってしまったのか…きくのが怖くて聞けなかった
14日:妻が明日実家に2日かん帰るから息子の事を頼まれた。
定時に帰れば息子の事はなんとかなる為大丈夫と妻に伝えた
16日:妻が実家から帰ってきた…あきらかに痩せて顔色が悪そう!
ベッドに連れていく時妻の軽さに驚いた。
明日聞いてみよう!
17日:妻が私と息子に朝ごはんと夕食作り方を教えると言ってきた…私は断りたかったが息子がパパと一緒にやりたいというので…しばらくは30分早起きがはじまる
18日:ご飯作りは思った以上に大変だったが私と息子の姿をみて妻は聖母みたいに笑っていた…その笑顔が何故か愛らしく思え…何故だろう…今の生活を手放したくないと思いはじめ…
美香からの連絡が億劫になってきていた。
それから1週間がすぎたある日…私は妻に離婚の撤回をしてもらいたい事を言うべきが考えてた時妻が突然倒れた…
救急車を呼び私と息子はなすすべが無かったが救急車の中で妻は意識が戻り
救急隊員の方に
妻「県立○○病院に搬送してほしい…かかりつけなので」
救急隊員「分かりました…何課ですか」
妻は私の顔を見て黙ってしまったが県立○○病院が受け入れ可能だったため病院に運ばれた
妻は癌であった…もう1年以上前から治療をしていた。2日間実家に帰ると嘘をついて治療をしていた、私は何もしらずに…妻は入院する事になった…医師からもって3ヶ月と言われた。妻は前から自分の余命に知っていたのだ
妻:「パパありがとう慶太郎は実家にお願いしてあれから離婚しましょ!」
私「もう一度やり直したい、私が間違っていた」
妻「癌て分かったから言ってるんでしょ?」
私「違う今日倒れる前に伝えようと思っていた」
妻「ありがとう」
私「ありがとうは私が言うべき事だよ幸恵愛してるから」
妻「家に帰りたい」
私「うん帰ろう 」
妻はあれから約2ヶ月でこの夜を去り
あれから10年息子も18才…親子2人でなんとかやってきた
妻は天国で喜んでくれているかな?途中色々あったけど妻以上愛せる人はいないだろう…毎日天国の妻に愛してると伝えているが伝わってるかな?
きっとあの聖母みたいな微笑みで見守ってくれているだろう